練習生原稿特別号「混乱するファンダとアッパースキル」 Sugi Academy R4.11.23
これまで原稿の中で、多くのスキルやメンタルなど紹介してきた。すでにどこかで解説済みの話題が圧倒的だが、今日は、とりわけ憂慮している事象を4つピックし、改めて問題を浮き彫りにしてみたい。「四大 三流プレイ」と私は呼んでいる。危機感は相当なものである。内容は順に記すが、細部の説明は関連記事を読んでほしい。
1、DEF動き出しのクロスステップ
基本はスライドステップにあり。クロスステップの出だしはスピードがガタ落ち。使うにしても、正しい使い方が絶対条件。DEFが伸びない要因だ。スクール生がやっと、直り始めてきた。修正に相当のエネルギーを費やしたね。 スーパードライブと闘う https://saschool-blog.com/?p=1517
2、ストップ技術のいい加減さ
パスをミートするとき、ジャンプシュートを打つとき、DEFで追いかけて止まるとき、いろいろな場面で自分勝手なストップをする。特に、NBAプレイヤーがやってる足使いを、基本もできてないのにそのまま真似る。ステップバックやフロントストップからドラッグステップジャンパー等、ドリブルプルアップジャンプシュートが未完成の小学生・中級中学生がやるものじゃない。自分なりに工夫してると本人は考えてるのかもしれないが、勘違いも甚だしい。 ストップ下手に上級者なし https://saschool-blog.com/?p=3205
3、チェストパスの重要性と使い方の無理解
本来、ゲーム中の八割くらいはチェストパスだ。当然ノーバウンドである。然るに(そうであるのに)、やたらくたらバウンドパスが使われる。パスカットされる要因になってることに気づかない。ノーバウンドは、ゲームテンポを上げるためには必要不可欠のパスだ。インターハイなど見ても、上位チームはチェストパスのあるべき姿を大事にしてる。どうかすると、Bリーガーですらアホな使い方をし、カットされてる。点を取ることやDEFにはムキになる。だがなぜ、ターンオーバーには気を配らないのか?おかしいだろう。ミニの内から修正したい。 チェストパス使用法 https://saschool-blog.com/?p=356 世界に伍する技術 学び方 https://saschool-blog.com/?p=1596
4、ワンハンドパスのデタラメ
私自身は、適切なワンハンドパスには大賛成だ。そもそも若い頃、ワンハンドパスをやる選手など、周辺にはゼロだった。「NBAに近づく1つの武器」というのが私の認識。筑波大を出た後輩と一緒にプレイした際、3人のDEFの陰から私が出したワンハンドパス。思いもかけないとこから来たパスに、彼は思わず「ウォッ」と大きな声を出した。それは、プッシュパスやサイドハンドパスを発展させた「スナップパス(特にドリブルスナップ)」 でも、育成年代中心に大流行中のワンハンドは全くの別物。完璧にまがいものであり、害しかもたらさないと言って過言じゃない。片手なら、パス動作を止められない。ミスが多くなる。NBA選手なら、でかい手のひらでボールを掴み、ナイスフェイクするかもしれない。彼らと一緒だと思ってるのかねえ、片手大好き諸君は。チェストパスと違う系統を学びたければ、プッシュやサイドハンドを練習すればいい。これはまあ、ワンハンド系にあるパスだ。流行してるのは、何となく使えちゃうからだろう。両手できちんと持つより面倒くさくもない。でも、そんな安易さにどっぷりつかってると、上級DEF相手に通用しないし、染み込んだ悪癖はなかなか消せない。下手レベルのままでいいのなら直す必要はないが、人ごととはいえ、世間全体がこんな大間違いするのには、爺さん、やはり耐えがたいねえ。 育成年代のパス https://saschool-blog.com/?p=1259
上述内容以外にも言えば切りがないが、特に配慮したいことをまとめた。高校レベルでも、修正されず放置されてるなんて、何をかいわんやである。バウンドパスとスナップパスの好例があったので、皆さんに紹介しよう。ブログには、スクール生2人のパスプレイを静止画の連続写真で解説した(動画にしたいのだが、他選手の個人情報もあり……)。必要性のある場面で使うからこそ、「キラーパス」となり得ることを、絶対に忘れないでほしい。安易なプレイの排除は、S.A.のポリシーである。
①の写真、青のボールマンを見てほしい。ウイングでパスレシーブ、そこに、じわっとDEF 白6が詰めてきた。②のように、OFFは右ドライブで白の右(DEFからいうと左側)を狙う。だが、簡単に抜けそうもないと判断、ドリブルを左に切り返し瞬間抜きしようという場面が③だ。
④ではフロントチェンジを使い、DEFを抜きかけている。そして、⑤で完全に抜き去ったが、早くも白4がヘルプに動き出している。そして⑥ではドリブルコースに入り、青11へのパスコースが消されている。なかなか見応えのある攻防だ。
いよいよ一連のプレーにおける核心部分。⑦の状態ではチェストパスは無理。でかいDEFが前を塞ぎ、味方11を見るのも困難だ。だが、11がそこに居るのはわかってる。だから、白4を巻いてドリブルスナップパスを捌こうとしたのである。すると次の瞬間、白5がヘルプに寄ってきた。そのためスナップパスの空間が狭くなっている。それが⑧だ。DEF5の左手に引っかかるかもしれない。そこでドリブラー Nは、⑨のように急遽パスの種類をスナップバウンドへと変更したのだ。これには、素晴らしいDEF達も反応できず、「ドラマチックな0,1秒の攻防」となった。
前述した「三流プレイの3.4番」、そこではチェストパスとノーバウンドパスの重要を強く訴えた。だが、青コンビ2人がやったのは、「ワンハンドパス」「バウンドパス」。こういう使い方にこそ真理がある。この場面では、チェストのノーバウンドパスは機能しない。私が最も言いたいのは、「チェストが使えるならチェストで」「ノーバウンドで困らないならノーバウンドで」そういうことだ。ファンダをないがしろにするんじゃない。5年生がこんなハイレベルのパスを出せるのは、正直驚きである。この場面では、少なくもあと3パターンほどのキラーパスプレイが可能だが、そこまで生徒達に求めるのは無理。そんな中、本プレイのような展開を生みだした2人には、大きな賛辞を送りたい。
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