練習生原稿臨時号「NCAA コーチKの強さ」 Sugi Academy R4.7.25
米デューク大を長年率い、今春引退した「コーチK」こと、マイク・シャセフスキー。大学・コーチ名とも若い頃よりなじみ深い。またも、バスケの一時代が終えたという感覚。彼は、デューク大をNCAAチャンピオン4回、BEST4には12回、オリンピックでは金メダル3回という偉業を達成、名将として世界中に名が轟いている。今日は、そんな彼に敬意を表しブログの題材にさせていただいた。彼自身に関し述べるのが本論だが、折角の機会ゆえ、まずはNCAA(全米大学体育協会)について少し話そう。実は私、NBAにはまる以前から、NCAAバスケが好きだった。一発勝負のトーナメントにかける選手やコーチの熱情が、手に取るようにわかり、そのバスケレベルの高さ同様、ワクワクしながら見ていた。現在、日本でNCAAを視聴するのは少し面倒、だからNCAAを知らない人が結構多いんじゃないかな。私だって詳細に知ってるわけではない。多少の誤りは出てくるかも……。承知の上よろしく。
男子バスケの例で話す(女子もあるが、尚更詳しくないので)。ディビジョンがⅠ~Ⅲに分かれてる。分類基準は強さではなく、主にスポーツ予算の大小。ゆえに比較的大規模大学がD1に属することが多い。ディビジョン3つとも、学校数は300~350くらいだろう。D1所属でも弱小校はあるが、世界に知られた強豪が多いのもD1だ。デューク大もこれに所属してる。また、一般にNCAAトーナメントといえば、D1を指す場合が多いだろうね。私がよく見てたのもそれだ。D1は32のカンファレンスに分かれ、レギュラーシーズンの成績を元にチャンピオンシップを行う。見事優勝すればNCAAトーナメント出場権を得る。それで32校。また、大学ランキングが決められており、選定委員会に選ばれた残り36校がそれに加わって、全68校で全米NO1を争う。凄い競争率だ。NCAAトーナメントで優勝するのがいかに困難か。過去に何度かNCAAの上位校が訪日、全日本と試合した。相手は大学生、それに全く歯が立たない。さすがに今では、そこまでならないだろうが、トップクラスの大学は相当強い。だって、すぐにもNBAで活躍できる選手が何人もいるから……。
ここからが本論。ラインでコーチKについて伝えながら、ふと思い立ったことがある。そのあまりの業績ゆえ讃えられるコーチK。若い頃より何の疑問もなく、凄さを信じてたのだが……。NCAAでの実績がNBA入りの大きな要素。名門だし、当然デューク大卒業生にはNBA入りする選手が多い。しかし、突如ブン爺の頭をよぎった疑問。デューク卒のスーパースターが思いつかないんだ。バルセロナドリームチームは、11人全部殿堂入りしてるが、デュークはいない。唯一のアマチュア レイトナー(デューク大)は、卒業後プロで活躍したが期待されたほどじゃなく、スーパースターとはおよそいえない。今をときめくカイリー・アービング、八村と同期のザイオン・ウイリアムソンは、デューク大だが1年でNBAにアーリーエントリしてる。大学時代を通じて活躍したとは言いがたい。私が知る範囲では、2000年をまたいで活躍したグラント・ヒルくらいか?彼は殿堂入り選手だ。
「私が何を言いたいか」おわかりかなあ?細かに分析しないと正確なことはいえないが、コーチKの元には「スーパー」の文字が付くスターが少なかったのではないのか?ということ。レイトナーは、数々の大学記録を持つスター。だからこそ、ドリームチームにも入れた。しかし、それはコーチKによって目一杯伸ばしてもらったともいえる。NBAのトップにまで上れるほどの力は持ち合わせてなかったのかもしれない。これらは、ブン爺の推測、当たってない……?しかし、デューク大からNBAのスーパースターがほとんど出てないのは確かだろう。
つまり、そこそこ優秀な選手達を目一杯鍛えて伸ばし、超強豪校に仕立て上げたんじゃないのだろうか?真偽は不明だが、その可能性は十分。だとすれば、まさにコーチの手本。何回もの栄誉の裏にある、本当の凄みにもっと焦点が当てられるべきかと考える。
そんな風に見ると、「シーズンの終わりは、涙を流して迎えたい」という彼の言葉が、一層胸に響く。勝った喜びも負けた悲しみも「精一杯やり尽くしてこそ」味わえる。そういう人こそが、「名将」と呼ばれるにふさわしい。先頃、千葉県で起きた高校バレーボール体罰事件。マスコミは「千葉の名将」などと軽々しく言っていた。冗談じゃない……。世間全体で、優れた指導者のイメージを考え直してほしい。
私のバスケ人生は、あと何年続くのか?ここまで自分なりに努力はしてきたつもりだが、含蓄のある彼の言葉が改めて突き刺さる。伸び盛りの生徒諸君・保護者の皆さん、なお一層の進化を遂げるよう頑張りましょうね。
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