3.5.15配信「パッシングOFFの原理を知る」の続編だわ。より専門性が強いけど、内容は非常に重要、パッシングの本質を勉強できると思う。5.28配信の「パッシングゲームの3大要素」と合わせて、2つを必ず先に読んでほしいわ。それからこのブログを読んでね。具体的なプレイパターンはいくらでもあるんだけど、全ての骨子となる考え方を学ぶことが出来ますよ。 パッシングOFF原理 https://saschool-blog.com/?p=1291 3大要素 https://saschool-blog.com/?p=1363
練習生原稿38「パッシングゲームの作り方②」 Sugi Academy R2.4.15
原稿36で、パスゲームを行うには「パッサー・レシーバーとも同時に、ノーマークになる一瞬が不可欠」と伝えた。DEFがパッサーを圧迫すればパスを出しにくいし、レシーバーが捕まってればパスを受けにくいからである。1回だけのパスを成功させるにも欠かせない技術という意味だ。原稿37では、実現のための具体例を示した。今回はより深く考えてみる。実際のゲームでは、ワンパスだけでノーマークにフィード(攻めに直結するようなパス)できることは少ない。数本のパスは必要。つまり、赤文字で書いた状態を連続的に作り出せねばダメ、ということになる。パスを回し、4~5本目くらいには、ペイント内へフィード、最後のレシーブをゴール付近で行うのだ。このOFFを実現するための具体的なカッティング技術は、ドラッグ・ゴールカット(フロント、バック)・Vカット・クオーターミート・Cカット・ラテラルカット・ハイポストフラッシュ等、基本~中上級だけでも20種類くらいはあろう。なお、カッティングとセットで覚えたいのがストップ技術だが、こちらは別原稿で解説した。
中・高校生が学びたい基本~中上級技術 *細説は原稿34。 カッティング https://saschool-blog.com/?p=1910
V・L・I・C・U・S・Zカット *文字の型に動く。特に、V・L・I・Cは覚える。
クオーターミート、ドラッグとその連続 、フロント(ボールサイド)カット、バック(ブラインド)カット、カットイン(ゴールカット)、カットアウト、ハイカットとローカット(ハイポスト、ローポストへ切れる。ポストマンがよくやる)、リバースカット(カット後、フロントやリバースターンでシール)、ラテラルカット(レーンを横にカット、フラッシュポストと似た意味)、ダイアゴナルカット(レーンを斜めにカット)、フレアーカット(ボールから離れ広がるような軌跡、オープンJS等)、カールカット(スクリーンに対しひつこく追うDEFを外すのにぐるりと回り込む動き)、LAカット(UCLA が用いたハイポを縦にブラッシュするカット)、スプリット(ハイポプレーヤーの両側を交互にカット) 中学生も、上級者はダイアゴナルカットくらいまでは覚えたい。
フィードに使うキラーパスを数種類覚える
例えば、下図のような状況がゲーム中に生まれたとしよう。あなたが、○のボールマンで、現在、エンドライン方向にドリブル中だとしたら、次のプレーをどう展開するか考えてごらん。振り切れそうなので、思い切ってドリブル勝負を続けると考えた人、不正解ではない。DEFよりほんのちょっとだけ勝っているし、ポストマンがローサイドをとれてるから、パスをフィードすると考えた人、これまた、不正解ではない。ただし、もしこのパスが、チェストパスだったらどうだろう? 通るかな? 7~8割、自分のDEFにカットされると考えるのが妥当だ。
では、ここで使うべきパスは何か? それは「ドリブルスナップパス」。これを使えば7割の確率で通るだろう。さらに、ドリブルスナップバウンドにすれば、9割以上の確率にUPしそうだ。場面に応じて、最適なパスを選択し使いこなすスキルが、イージ-(簡単な)シュートを生むのである。この場面でポストにボールが入れば、DEFの位置から考えて、どう見てもポストマンが有利だ。イージーシュートになりやすいってことだね。ドリブルスナップパスは高度なパス。未熟だとミスを連発する。でも、DEFに読まれにくく、スティールの可能性が極めて低い。私が愛してやまないパスの一つである。*小学男子上級者がよくやるが、あれ全くダメ。3.5.6配信ブログ「小中高生が優先的に学ぶパス」参照 https://saschool-blog.com/?p=1259
重要! 「ドラッグ」とはどんな技術?
前ページに、”ドラッグとその連続”と書かれている。この技術、パスプレイを成功させるために不可欠(必要)。そのやり方を図解しよう。中学生は一人でいいが、ジュニア以下は親子で読破してほしい。チームにおけるパススキルのアップには、欠かせないものである。これが出来るようになれば、「このチーム、パス上手よねえ」と見られるぞ。
仮に今、図1のようなアラインメントだったとする。見やすくするためDEFはわざと書いてない。ボールマンは○B。彼が○Aへパスを出し、カットインを始めるという場面である。パスを受けた○Aは、ドリブル1:1をやれるが、それは無しにして、パスプレイのみを考えてみる。どんなパスの選択肢(選び方)があるだろう?○Bへのリターンパス、○Eのミートへ合わせるパス(立ったままでは遠すぎてカットされやすい)どっちも有りだ。この瞬間には右側がウイークサイドだから、DEFの少ない方を攻めるのは妥当である。しかし…だ。○Aはミドルラインより右側(OFFから見て)にいる。○Bがカットインすると、当たり前にDEFも全体的に右寄りとなる。つまり、この時には既に、右側がストロングサイドに変わりつつある。ならば、ウイークになりそうな左サイドからOFFを始めた方が、DEF全体の体形を崩しやすいという考え方が成立する。これわかるかな?
次は図2をみよう。今言ったことが理解しやすいようDEFを入れてみた。○CのDEF×は、○Cからかなり離れミドルラインに寄っているだろう(どれくらい寄るかは個人差あり)。左側が(DEFからすると右側)ウイークサイドなので、守り方として正しいが、○Cはノーマーク状態に近い。だから、○Aとすれば○Cへパスした方が、OFFを広々展開することが出来るのである。ボールが一瞬に逆へ振られれば、DEFは大きく移動せねばならないという問題点を抱える。これが、OFFを仕掛ける方向の転換「サイドチェンジ」の考え方だ。試合中、OFFはどんどん小さく(狭く)なっていくことが多い。それゆえに、ミスの発生率が高くなる(原稿37参照)。パスゲームの根本原理ともいえる。
パッシングゲームのあり方について、シリーズで学んできた。よく鍛えられた高校などでは、出来て当たり前のことだろうが、こうした知識・スキルは、まだまだ不足してる学校が多い。パスパターンを決めてドリルするのも悪くはない。だが、形を覚えることが目的になり、本来の狙いを達成できない事が多い。だから、期待するほど上達しないのだ。10や20のパターンを教えるのは造作もない(たやすい)が、それじゃダメだとよくわかってほしいぞ。
このような根本原理をしっかり理解した上で、パスのパターン練習をやれば、融通の利く(場面に応じる)柔軟なOFFが出来るようになるんですね。
コメント