バスケ配信  究極のオフボールDEFを求めて

練習生原稿130「繊細なDEF ビットリトリート」    Sugi Academy R6.4.8

今回解説するDEFは、かなり細かく高度な考え方である。トップゲームなどを観ていても、爺さんにはどうしても納得いかない、そんなDEFに関する視点。正直、こういう考え方を、全国or世界トップクラスの指導者達が「どの程度」受け入れてるのか分からない。多くのゲームを観る限り、そう意識されてるようには思えない。だが、これはDEFに関するS.A.理論では、大切な考え方なのだ。もちろん、育成年代の個人DEFとしては「ストリクトマンツーマン」そこから徐々に手を加え、スキルアップしていく。「ビットリトリート」は、それらを十分熟した上で指導されるべき、高難度のオフボールDEFなのである。ただ、S.A.で推奨してるチームDEFは、「ヘルプマンツーマンDEF(ブン爺がそう呼称してる)https://saschool-blog.com/?p=1733」。Deny DEFなどがメインではない。だから、ディナイやプレスを中心に使用するタイプのチームには、縁遠いDEFともいえよう。だが、そうした条件を含めても、十分学ぶ価値ありと考えている。それはあくまでも、オフボール個人DEFを最高度まで伸ばしたいという願いに基づくからだ。結果としてチームDEFにも有益になるに過ぎず、「発展的個人スキル」という位置づけは不変だ。それを理解できない人は読むに値しないとあらかじめ断っておく。

 図1 ヘルプのタイミング

OFF.DEFの配置を図1どおりとする。ディナイはしていない。
ボールマンがトップからドライブした。×は追っているが抜かれそうだ。こんな時×はどうするだろう。多分ヘルプにいく。問題は「いつ・どのように」である。たとえば のように、「ペイントに入る直前一気に」などと約束してあるのなら、まだいい。しかし、何のルールも決めず、選手の勝手というケースが多いのじゃないか?個人DEF力という観点で見た場合、この の動きをどう考えるか?結論から言えば、「早すぎる」が私の見解。このタイミングで捉えたければ、ドリブルの半分位置で動き始めねばならない。その場合ピンク点線のようにピッチされるのはほぼ確実だ。他のプレイヤーによるヘルプを無視すれば、もうこの段階で守備は崩壊してる。つまり、こういう個人DEFではダメということ。では、どうする? 図1-2の点線上を短い青線が区切っている。OFF2人の距離を3等分した。自分のマークに近い3等分点を、紫……のように平らな三角形を作って守るのだ。

 図2 ヘルプの移動
 図2-2 三角形が徐々に変化する

次にどう動くべきか?図2を見てほしい。矢印方向だ。横方向へ動いてるが、×の身体は、実際には図中のようにやや左斜め向きなので、右後ろ斜め方向へ移動することになる。そして困難なのは移動の仕方。ドリブルの接近に合わせ、10cmくらいずつ数回に分け動き続けるんだ。それで、ビットリトリート(ちょっとずつ後ろへ)と名付けてる。そして十分引きつけ一気にコースチェックする(実際はもっと複雑)。「なぜ細かく動くのか?」OFF2人とDEFで作られる平たい三角形が、形を崩さず維持できるからである。図1のように動いたら、三角形の形状は崩れキックアウトの餌食となる。だが、形が崩れなければ、パスラインに手が届くため、ピッチに対し牽制けんせいすることが可能なんだ。最も安定的なポジショニング・スタンスを長く維持できるのは理にかなう。しかし、現実にはかなりレベル高い技術。「ルックアウェイを作らない」という強い意識と繊細な動きで2人を守る、なかなか身につくものじゃない。

ブンコーチ
ブンコーチ

図2を見ると、ヘルプの移動は、右横方向にまっすぐ一直線である。だが実はこれ、正しくない。とても微妙だが、ほんの少しずつ、ゴールに向かい下がっていく。図2-2の水色……の三角形をよく見てほしい。DEF位置が2等分点くらいになってるだろう。ドリブルの接近に合わせ、徐々に近づいていくんだ。この辺りの微調整が、ビットリトリートの難易度を高める要因となってる。

「平べったい三角形の3等分点を守る」と、スクール生には指導してきた。でも、長ったらしいので、いちいち面倒で間延びする。そこで、ブログアップの機会に名前をつけてやれ、とブン爺は考えた。「フラットトライアングル」フラットは平らな、トライアングルは三角形という意味。ドンピシャだよね、端的で言いやすいし。まあ、S.A.以外では通じないだろうが気に入ってる。覚えてね、みんな。

 図3 他DEFの移動とスタンス

ドリブラーの距離やドリブルスピードによっても、リトリートする方向は変わる。難しいことだらけだが、ドリブル開始以後の全員の動きを、図3中に矢印で示すので、参考にしてほしい。最重要課題は、「ルックアウェイを防ぐ」ためのポジショニング(位置取り)と広角視野の確保である。仮にDEF位置が正しくても、身体方向が誤ってる選手は多い。実際のゲームでは、ボールやOFF位置がひっきりなしに変化する。それに正しく対応してポジショニング出来てるかといえば、これまたNO。たとえば、ピンクDEFのスタンスならボールマン・ウイング・コーナー3方向がにらめる。顔を動かしてあちこち確認しろというコーチも少なからずいるが、私は大反対。どんなに頑張った所で、100%なんかないのだが、究極を詰めていくのがS.A.流なのである。

M
M

以前のブログで、コーチが「全てに完璧なDEFなどない」って言ってたわ。R6.9.4「新たな潮流?と育成年代」の中では、今後トップチームの世界的潮流になるかもしれない「ノーヘルプ」の考え方も説明されてたわよね。それらを全部踏まえた上で、今回の記事を熟考する必要がありそうだわ。

コメント

  1. バスケおやじ より:

    ルックアウェイを防ぐ、ドライブ・パスやカットインに対応できるポジション取り。なるほど。
    平たい三角形とビットリトリートは分かりやすい理論だけど実際には難しい。
    でも、隙のないDEF、ぜひとも意識して身に付けて欲しい。

  2. ペネトレイト より:

    ルックアウェイ、防ぎたいですね。意識してもらいたいチームディフェンスのひとつです。

    確かにオンボールの見逃しからノーヘルプのドライブ、自分のディフェンスを見失いバックカットでやられるなどは防ぎたいところです。

    このページの内容を熟読し、普段から意識したディフェンスをして欲しいと思いました。

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