練習生原稿28「PGの生命線-視野を考える-」 Sugi Academy R1.12.1
人の目は便利なものだ。いろんなものを見て、それが何か?今どうなってるかなどを判別することができる。しかし、見える範囲は決まっている。たとえば頭の後ろは見えない。どこまでなら見えるのかという範囲のことを、「視野」という。バスケでもよく、視野が広いなどという使い方をする。3m先までしか見えない人と6m先まで見れる人、2mの幅しか見れない人と7m幅を確認出来る人、どちらが有利かすぐわかるだろう。広く遠くまで見ることが出来るほど、ノーマークの味方を見つけたり、スティールを狙うDEFを発見したりしやすい。視野に優れることは、スキル上達の条件ともいえるのだ。とりわけ、PGやパッシングFには絶対的要素といってもよい。(もちろん、バスケでは他のポジションにもかなり重要)
ところが、この言葉、よく使われる割に実体がはっきりしない。「視野が広い」などというが、人によって見える範囲に大きな差があるのだろうか?みんなはどう思う? その答えを出すには、「目の機能(働き)」を知らねばならない。像が映る原理など細かなことは省き、ものがどのように見えるかを解説しよう。 *病変などがあると、この限りではない。
さて、ここからが、バスケにおける視野の話題だ。「視野が広い」といわれる選手は、上図の範囲よりも、もっと広くまで見る能力を持っているのだろうか? 答えはNOである。残念ながら、どの人でも視野の範囲は上に書いたとおりで、よほどのことがない限り(地球上には神秘的な人がいるかも)、その範囲に大差はない。カメレオンじゃあるまいしね。
「え~っ、それじゃあ、視野が広い人って何者?」と思うよね。それはですなあ……。目をキョロキョロと動かしてるのだよ。試合中に1ヶ所をじっと見つめていて、DEFに気づかずパスカットされた経験あるだろ。目が止まって視線が固まっちゃってるのさ。それを一般に視野が狭いという。
ノーマークへドンピシャのパスを出せる人は、パスのスキルは当然高い。しかし、パス技術だけあっても、どこが通りやすいか判断できねばダメだ。それは、「ノーマークを見つける目」、つまり視野の広さと「今なら通る」という適切な判断力にほかならない。
仮に今、左サイドへパスを振ってOFFを展開するとしよう。PGはパスを振る前に、右サイドをチラ見しておくのだ。その際、「次にBがカットインすれば、エルボーが空くよなあ」などという具合に、プレイの予測まで立てることができたら、最高だね。「私が右ドライブを仕掛けて、ウイングのDEFがヘルプに来たらウイングへピッチしよう。」くらいは誰でも考える。でも、ドライブの前に左のサイドを確認し、「Cが左ローポにいるから、ウイングのDEFが広がれば、がら空きの右ローポへ飛び込めるじゃん」てな感じで、左の確認やプレイの予測立ててる人、なかなかいないだろ。本来、こういうとこまで考えてプレイを組み立てるのが、優秀なPGなのである。だから、本原稿3「ポジション別の役割」では、PGの条件の一つに「ゲームを理解するIQの高さや視野の広さ」を入れてある。
視野を広げるのも、ゲームを理解し予測するのも、簡単なことではない。しかし、常に意識してドリルしてれば、不可能なことでもない。ゲームをよくわかってる人と一緒にゲーム観戦し、解説してもらうのは、ゲーム理解の賢い勉強法であると付け加えておこう。皆の健闘を祈る。広角視野の養成 https://saschool-blog.com/?p=5530
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