練習生原稿13「小学生にもわかる ポジションの違いと必要な技能」 R1.8.17配信(本原稿追記部分)
OFFのポジションっていくつかあるけど、どうも違いがはっきりしないわ。
オレもネットでいろいろ調べたけど、似たような内容が多く、ちょっ難しいかなあ。
経験者のお父さんに聞いてみたけど、もう一つわからないのよねえ。
何となくわかってる人は多いと思う。でも、「違いをはっきり説明して」と言われると、困るんじゃないかね。ポジション別に必要とされる技能の内容について、ネット上の多くの解説文に負けないよう、「小学生にまでわかりやすく」というのが、今回の目的だ。OFFスタイルもNBA中心に変化するけど、細か過ぎないように配慮したぞ。
すでに書き上げてある本原稿NO3は、上級者向けの解説。初級・中級者、未経験保護者には少し難しい。ポジションごとに重なってる役割部分を、もう少しはっきり捉えることができれば、選手がすっきりするかなとも思ったのである。今回は、バスケ未経験の親御さん達にも伝わるよう、日本一わかりやすい解説書を目指した。 *主に、OFF(オフェンス)における役割について説明した。より詳しい専門的内容はNO3原稿を参照。
まず、ポジションの名前から始めよう。現代の一般的呼び名は、次の5つである。PG(ポイントガード)、SG(シューティングガード)、SF(スモールフォワード)、PF(パワーフォワード)、C(センター)という言い方だ。1番2番などと番号で呼ぶ方法や他にもあるのだが、今回はこれで揃えた。 *このような呼び名が定着したのはいつだろう?私が高校生頃は、あまり一般的ではなかったように思うが。
違いを理解する上で知っておきたい重要なこと
◎ポジション名は、場所につけられたものではない。どういう仕事を主にやるのか、それを区別するのにつけられてる。割と中心的に動く場所があることはあるが、他の競技(バレーボール、サッカーなど)に比べると、少し曖昧(はっきりしない)だ。
◎プレイする主な場所で分けると、PG・SG・SFは「アウトサイドプレイヤー」、PF・Cは「インサイドプレイヤー」と呼ぶ。アウトサイドとは、フリースローレーンからちょっと離れた外側の部分。インサイドとは、レーンの中とその周辺近くの場所のことだ。つまり、PG・SG・SFは、ゴールから離れた遠めの位置で活動することが多く、PF・Cは、レーン周辺とその中やゴール付近が主な活動場所だ。
◎バスケのOFF(オフェンス、攻めのこと)でやらねばならないことは何かというと、パス・ドリブル・シュート・Reb(リバウンド)・レーン中のいろいろな方向へのカット(ゴールへ向けて走るカットインは代表的なカットだ)・動いてのレシーブ(パスを受ける動き)。おおまかに言え ば、この6つである。そして、これらの動きは、どのポジションの人でもやらねばならな い。 *細かくいえばもっとあるが、わかりやすくするため、6つにしておく。
◎上の3つに書いたように、「主な活動場所はあるけど、曖昧(例えば、アウトサイドといっても範囲が広いでしょ)」「OFFの6つの仕事は全てのポジションでやらねばならない」。それじゃあ、一体どうやってポジションを区別するのさと、みんな思っただろう。でもね、バスケという競技は、「全てのポジションの人がどこへでも行くし(例えば、サッカーのゴールキーパーがシュートしに行くかい)、パスもすればドリブルやシュート、Rebもする(バレーボールのリベロはボール打たないよね)」それが原則だと理解すべきなのだ。
以上の4つを知った上で、これからの説明を聞いてほしい。そうすれば、ポジションごとの役割や必要とされる技術(スキル)の違いが、かなりよく理解出来ると思う。
まず、5つのポジションをあえて、G(ガード)F(フォワード)C(センター)の3つに変えて、どんな仕事をするのか考えてみよう。Gは「自分たちのコートからボールを運ぶ」「OFFをやりやすいようパスを回す中心になる」Fは「得点を取る、絡む」 Cは「ゴール近くで得点を取る」「Rebを拾ってもう一度OFFする」
非常におおざっぱに書いた。細かく丁寧ではない。本当は、これじゃあ不正確だけど、わかりやすいとはいえよう。ものすごく簡単にまとめると、Gがボールを運んでパスを回し、Fが受けて外からシュートやドライブ(主に得点を狙いに行く、スピードのあるドリブルのこと)を仕掛けたり、レーン内のプレイヤーにフィード(攻撃にすぐつながるようなパスを出すこと)する。そして、Cはゴール近くでパスを受け取って得点したり、入らなかった味方のシュートをRebしたりするのだ。ざっくりとはわかっただろう。
最初の5つのポジションへ話を戻していこう。「ボール運びとパス回し」はまさに、PGの重大な仕事。それ以外にも、声を出して味方にいろんな指示をするのも超重要。ポイントガードを、得点を取るガードと勘違いしてる人がいるが、ここでいうポイントは得点のことではない。ゲーム中に出てくる、一つ一つの大切な場面のことだ。その大切な場面(ポイント)を壊さないようしっかり守り切る(つまり、ガードする)ために、ゲームをコントロールするから、「ポイントガード」と呼ばれるようになったのだと、私は認識している。「今どうしても2点がほしい」という大事なポイントで、きっちりシュートを決めるのもPGなのだ。そして、アウトシュートやドライブ1:1で得点したり、パスフィードで得点アシストなどするのがSFの大きな仕事。 Cは、ゴール付近でシュートを決め、Rebでひたすらがんばるのだったよね。
こうしてみると、わかりにくいのがSGとPF。この2つは、次のように考えると理解しやすい。SGはPGとSFの中間のような役割。だから、ボール運びやパス回しも大きな仕事(ただし、PGほどではない)であり、SFのように、アウトシュートで積極的に得点を狙ったり1:1を仕掛けたりもする。一般的には、SGのほうがSFより体が小さい。同じようにドライブ勝負しても、パワーはSFの方が上なので、SGはテクニックでかわして得点するタイプが多く、SFはパワーで押し勝って点を取ることが多い。また、パワーがある分だけ、SFの方がインサイドプレイをする割合も増えやすい。(人の多いエリアでぶつかり合う)
残るはPF。PFは、SFとCの中間のようなポジション。ただ、「知っておきたい重要なこと」の2つ目に書いたように、基本的にPFはインサイドプレイヤーである。だから、SFのように外からの仕掛けを器用にできるだけでなく、Cのようにレーンの中で、パワフルに動くことができねばならない。言い換えれば、器用さやスキルの種類はSFに劣るけどパワーでは勝り、大きさやパワーではCより下だが、ドリブル勝負やシュート範囲は広い。そんな感じだ。
ただし、ここで説明した内容は、ポジションの違いを理解するための一般的な押さえ方だ。説明に当てはまらないような例外は、けっこうある。例えば、チャールズ・バークレイ。彼は198cmのPF(実際はもっと低かったらしい)。SGほどの身長なのに、210cm近い大男達をなぎ倒し、インサイドを支配することができた。スリーも入るし、アシストやドリブルスピードも半端ではない。現役最高(原稿執筆時)、年間収入96億円、203cmのSFレブロン・ジェームズ。どのポジションでもやれる怪物だ。NBAでは、2つ以上のポジションをやれる選手が多いので区別がわかりにくいかもしれない。
SGとPFをやる人は、以下のことに気を付けよう。SGは、今現在、PG・SFのどちらのポジションが弱っているか判断するのだ。PGがへばってミスが増えてれば、進んでボール運びを手伝う。SFのシュート率が落ちてれば、より積極的にシュートへ行くという感じ。PFもCが疲れてれば、外プレイよりゴール下でファイトだ。
「知っておきたい重要なこと」の3つ目に書いた、OFFでやるべき6つのことについて、それぞれのポジションでの重要さの程度を表してみた。大きい点数ほど重要(10点満点)である。ただ、ここ数年来言われることの増えた「ストレッチ4や5」では、PF.Cらビッグマンの3ポイントが重視される。その辺りまでの説明は無視し省いてある。あくまで、育成年代対象で考えてほしい。
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