練習生原稿139「リトルのルーズボール練習」 Sugi Academy R6.9.29
ルーズボールとは、どちらのチームのものでもないボールのこと。ドリブルを叩かれて転がってるボール、パスカットされたけどまだ相手に取られてない状態、Rebボールが宙にあるor床に落ちたとき、これらをまとめてルーズボールという。一体どのくらいの本数あるのか?シュートの上手下手、ゲームテンポ、パスやドリブルの巧拙など、条件により随分変わるだろう。それを承知の上、ミニバスのあるゲーム前半だけだが、チェックしてみた。地区レベルではまずまず上位に入るチーム同士の試合である。Rebについては、シュートが外れたものだけカウントした。シュートファウルは入れてないが、フリースローのRebは数に入っている。パスやドリブルミスの場合は、どっちのチームにも取るチャンスがありそうなものだけカウントした。結果は両チーム合計で、Rebは19本、その他のルーズ12本だった。
この数値って、かなり衝撃的じゃないかねえ?仮に2チームをA.Bと名付け、RebをAが13本Bが6本取ったとする。その他も同様に、Aが8本Bが4本としてみるか。すると、全ルーズボールは、A:B=21:10となり、11本差が出る。フィールドゴール成功率を40%としたら、11本×2点×0.4=8,8つまり、ほぼ9点差がつく計算なんだ。9点は大きいよねえ(シュート率30%でも6~7点差)。Aチームが大型で、BチームはRebを沢山取れなくても、その他のルーズボールで健闘し10本取れたなら、総数は15:16となり、結果はBチームが逆転する。つまり、小さなチームにも勝機が転がってくる。シュート率・ターンオーバーなども含めねばならないので、勝てる保証まではないけどね。
ミニ・中バスの選手って、ドリブルやシュートの上手さにやたら関心が高い。それ自体は全然問題ないが、ゲームの勝ち負けを決める要素というのは、ものすごく沢山あるんだ。ブログ「三流プレイの……」にも書いたが、平然とつまらないバウンドパスを出して、簡単にカットされ速攻とか、あるまじきプレイが多すぎる。選手も指導者も、もっとプレイの細部にまで目を向け、反省を練習に生かさねばならない。
さて、ここからはリトル生とルーズボールの関わりについて話そう。Rebはリトルには幾分早いとはいえるが、平面で争える他のルーズボールは、多少早めに取り組ませてよい。中学年くらいなら巧緻性が高いため、動きが速く良い反応の獲得が期待できよう。ただし、競り合いに接触はつきもの、十分な注意とファンダドリルを欠かないよう気をつけたい。まず、ファンダでしっかりやっておかねばならないことは、前後左右・斜め方向にスッと移動できる動き作り。そしてしっかり止まれるストップ練習だ。既にそれらが身についてれば問題ないが、練習を始めたばかりのキャリアでは、思うように動き止まることも出来ない場合が多い。そういう状況でムリすると、ケガの元である。最初は指導者がボールの投げ方を示範し、その後生徒同士2人組で実施する。原則、次のような順番でドリルを進めればよい。1人が投げ1人が取る。
①2人の距離は1,5mくらい。左右へボールを投げ、素早く
移動しながらキャッチする。
②前方向に移動しながらキャッチする練習。少し高めに投げたり、極小さな動作でボールを落としたりする。
③レシーバーの頭を越え、後ろ方向にボールを投げる。
④右斜め前・左斜め前に投げる。
⑤右斜め後ろ・左斜め後ろに投げる。

投げるボールの高さは、肩くらいから始めれば良いが、それだと結構簡単に取れてしまう。だから高さを低くして難度を上げる。また、投げるフリして急にやめ、逆へ投げたりする。ボールが戻された瞬間に、パッと離すのも面白い。前後左右斜めをゴチャゴチャに混ぜると更に難しくなるし、投げる間の時間を短くすると、難易度だけじゃなくスタミナ養成にも役立つ。一言で表現するなら、「ぎりぎり取れるかどうか」そんなボールを投げることである。だが、やり始めたばかりは、思い切り下手くそだ。日ごと徐々に慣れてくる。
ルーズボールドリルは、ボール確保率を高めるのが主な狙いで、リトル生のうちから、ボールへの執着心を養うことは肝要である。さらに、レシーバーが「自分の動ける瞬間的な範囲」を知ることが出来るのも、副産物として大切だ。それはまた、投げる側にも言えることで、DEFの動ける距離を知ることが出来る。そして、フェイント技術の向上にも繋がるのだ。パス・ドリブルのスティールに長けてる選手は、こうしたドリルをしっかり意識し熟している。
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