オリンピック ベルギー戦、Final 4 へ残った歴史的試合だった。そのゲーム4Q最後の1分間を取り上げ、連続2週スクールでプレイ解説を行った。日本中が、ハラハラドキドキした1分。観客の一人になって楽しむのもありだが、長年の習性で、ついコーチの目でゲームを見てしまう。凝縮された1分間(林選手がスリーを決めるまでの間)に、好プレイ7つと改めるべきプレイ4つを見つけた。敵味方合わせてである。映像を流すことは出来ないし個人情報の問題もあるため、紙面では一個一個の具体的内容は避けるが、次代を担う生徒達や関心のある保護者達には、細かな解説をしたのだ。オリンピックレベルのゲームの裏側まで知る機会は滅多にないだろう。バスケの奥深さ・難しさ・楽しさを改めて感じてもらえたと思っている。
自分の言葉で説明しろといわれれば、完全には自信ないけど、コーチの解説内容は全部理解できたわ。面白かったあ~。今日の原稿は、ベルギー戦解説でも何度か出てきたDEFについて。あの試合と全く同じではないけど、考え方のベースや活用法に共通点がたくさんあるのよ。スクール生は直接聞いた分わかりやすそう。でも、内容は簡単ではないと思うわ。訪問してくれた皆さん、少し手強いかもしれないけど、読み切ってくださいね。スキルのツーランクアップに大きく関わるので……。
解説では、それ以外にフランス戦・アメリカ戦などにも触れ、シュートの種類やスローインのやり方など、スクール生がすぐ使えそうな技術まで練習したね。いつかブログにアップされるんじゃないかねえ。 スローインのミス回避 https://saschool-blog.com/?p=4709
練習生原稿29「DEFの多様性、目指せ最強!」 Sugi Academy R1.12.2
DEFの基本は「インラインマンツーマン」まずは、これ。OFFはゴールに向かい、最短距離を走りたい。つまりまっすぐだ。だからDEFは、最短ラインをまたぎ、それを塞がねばならない。腕1本分くらいの距離で付く(ワンアームレングス)。このDEFを徹底的に練習し、1:1で簡単に抜かれないようにする。いつでもDEFがゴール側にいれば、負けることが少なくなる。最後の最後まで、ゴール側を守るという強い気持ちが大事だ。
「スクリーンアウトをやれ」と、よく怒られる。正しいやり方は覚えなくちゃならないが、その前に、「最後までDEFする」という必死の思いこそ重要なのだ。チームの多くは、インラインDEFの練習が足りない。 *今回の内容は、R3.1.6配信ブログを深めた上位版である。ミニバスのDEFポイント https://saschool-blog.com/?p=648
上の図を見よう。ピンク色の線が5本引いてある。OFFとゴールを結んだ線だ(これをゴールラインという)。インラインDEFでは、これをまたいで守るのが基本。しかもワンアームの距離にいるので、ヘルプなどはほぼできない。要するに、「個人のDEF力をもっともっと伸ばす努力をしなさい」という意味でもある。ところで、図中のDEF5人で間違った付き方をしてるのは誰だろう? ラインをまたいでるのはDのDEFのみ、他の4人はみんなずれている。だから、インライン・マンツーマンとして正しいのは、Dだけだ。でも、もっと広い意味でDEFを考えると、A.B.EはOK。本当におかしいのはCのDEF1人だ。これは、ほぼありえない(絶対ではないけどね)。では、A.B.Eはなぜ悪くないのか?
Aの守り方…オーバーシフトという。Aが右方向のドリブルが非常に速い場合など、そっちへ行きにくいようにするDEFだ。
Bの守り方…ディナイという守り。Aからのパスを通させないように、パッサー側に寄って守る方法。強豪中学や高校以上でよく用いられる。強いOFFにボールを受けさせない、パスゲームをやりにくくさせる。
Eの守り方…ポストマンを守る方法の1つ、右サイドカット。ゴールが近いので、パスを受けさせない。
今説明したとおり、DEFの種類は多いため、各コーチがいろんなことをやりたがる。でも、それは無秩序(いい加減)ではいけないし、DEFの根本を大切に練習せねば、上達は望めない。「インラインDEFを使ったストリクトマンツーマン(ヘルプやスイッチをほとんど使わず、徹底的に自分のマークを頑張るマンツー)」にもっと多くの時間を割いて練習を重ねることこそ、全日本男子メンバーが感じた「世界とのDEF力の差」を解消する原動力になり得ると、私は強く信じている。あっ、チームでやらないなら、君らが自分でやるしかないよ。実行可能な範囲でね。 育成年代のストリクトDEF https://saschool-blog.com/?p=879
ここからは、「ヘルプマンツーマンDEF」について説明しよう。伝統的なマンツーマンDEFを私なりにアレンジしたもので、このような名称で呼んでいる。小中生にはやや難しいディナイを使わずパスへのプレッシャーを可能にし、ヘルプすることも割と容易なDEFで、私のチームで長きに渡って使用し成功を収めてきた。生徒諸君のチームDEFはどれほど組織化されてるのか? 全て事細かにDEFの約束が決められてるなら、それに従って練習すればいい。だが、多分、ポジショニング・ヘルプの基準などは、「おおまか or はっきりしない」のであろう。もしそうなら、これから私の説明する内容は、あなたたちのDEF力アップに貢献することができる(役立つ)。 *別タイプのDEFを採用するコーチもいる。私からの提案である。
1つ知っておいてほしい。全てを完璧に都合良く守れるDEFなどない。中にシフトすれば外が空き、外をチェックすれば中が緩む。どこをどんなふうに守りたいか重点を決め、足りない部分に多少目をつぶる、つまり「捨てる部分を覚悟する」勇気が必要なのだ。
次に説明するのは、ヘルプマンツーマンDEFと呼び、私が長く使い続けたチームDEFだ。S.A.スクールの性格上、チーム戦術には余り触れないのだが、個人スキルを発揮する上で避けにくい内容もある。そんな感覚で読んでほしい。下記文中に、ワンパスアウェイとかツーパスアウェイとかある。それを守るDEFを2線・3線などといい、通常、2線はDeny DEF、3線はピストルDEFなんて具合にするんだけど、そんな細かいとこまで説明するのは、避けたいのが本音さ。必要があれば、今後、Spot 解説で取り上げようかと思う。ただ、ビットリトリートのようなハイスキルは、いずれ説明すべきかな。
ヘルプマンツーマンDEFの基本的ポジショニング(守る位置) *自分のマークが7、ヘルプ3くらいのイメージで守ること。
○がボールマン、全体の配置が下図のようだったとする。
AB、AC、ADをつないだ3等分点くらいの距離に立ち、平らな三角形を作る。平らなら、パスラインをチェックできる(パスカットが可能)からだ。ボールマンAの隣にいるBやCをワンパスアウェイという呼び方をする。パス1本で届く距離だけ離れた位置という意味だ。それに対し、Dとボールはかなり遠い。パスが届くとしても時間がかかり、カットされる可能性も高い。だから、A→C→Dとパスされることが普通。これをツーパスアウェイと呼ぶ。原理を知った上で、この基本形を徹底して身につける。むろん、自分のマークマンとボールを同時に見て、ピストルDEF(指をピストル型にし、自分のマークマンとボールマン2人を指さす)を行う。練習法は、ボール位置はそのままで、他のOFF4人がゆっくり歩いて場所を移動、その瞬間、DEFは正しい位置とビジョン(見る方向)を確保できるように訓練するのだ。慣れてくれば小走り、やがてスピードつけて、と変化する。ボールマンDEFは、インラインでワンアームレングス(腕1本の間)。ポストアップに対しては■× のように、離れずサイドカットDEFする(ゴールが近いのでパスさせたくない)。Dのようにボールから遠いほど(ツーパスアウェイ)パスに時間がかかる。だから、DEFは、その分少し深めに守り、ゴール付近やヘルプに対応しやすくするといい。
ミドルラインで、コートが縦半分に分けられる。その時、ボールがある側半分をボールサイド、ボールのない側半分をヘルプサイド(ウイークサイドとも)という。ここで、ものすごく重要なこと。パターンⅠⅡとも、ヘルプサイドにいるOFF(ⅠではCとD、ⅡではAとB)をマークしてるDEFが、ミドルラインぎりぎりまで寄ってきてる事実だ。平らな三角形の高さもやや高めだ。これは「防御の集中性」。この長い距離をワンパスで通すのは楽ではない。もし通ったとしても届くまでに時間がかかるため、すごく平らじゃなくてもパスカットは可能で、3等分点より離れてもリカバリする(元のマークに戻る)のが難しくない。正しいフットワーク練習をする必要はあるけどね。ⅡのCについてるDEFにも注目だ。2等分点くらいに立っている。ボールラインがかなりリングに近いので、より危険な地域に接近してるのだ。■×だって、ポストマンEから少し離れてるだろ。これもヘルプサイドだからだよ。ただし、ポストは原則離しすぎないことが大事、レーン内を自由に動かれると厄介なので。カットインやドライブへの対応では、スタンスの細かな角度調整や小さなリトリートステップ(ビットリトリート)が不可欠。これは、練習でやろう。 ビットリトリート https://saschool-blog.com/?p=6856
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