練習生原稿20「1:1が強い それがバスケの基本」 Sugi Academy R1.10.2
団体競技に於いて、チームが団結することは非常に大切なことだ。いわゆるチームワーク。それは間違いない。だが一方で、チームを支えているのは個人だという事実も忘れるべからず。個々の技量が貧弱なチームでは、いくら良くまとまっても強豪にはまず勝てない。個人の力を伸ばし、その上でプレーのズレを直し、協力による相乗効果(2つ以上のことが互いに効果を強めあう)を狙う。それこそがチームワークを高める本来の意味である。ドリブルは個人技術、パスはチームプレイだから、「パス中心のドリルばかりやる」というのは、いかがなものか?原稿16「スキルを磨く上で心すべきこと」(6.15ブログ配信)の最終段落にも書いたが、パスによるOFFにこだわりすぎる風潮が強いと私は考えている。パッシングOFFは重要であり、私個人はパスの方がドリブルより得意だ。チーム作りではパッシングドリルに相当時間をかける。でも、パスの練習自体をチームワークのためと思った記憶はあまりない。
さて、1:1に話を移そう。英語では1 on 1 ともいわれる。ものすごくぶっきらぼうな言い方をすると、「1:1の名手が5人揃えば、チームは十分すぎるほど強くなる」。1:1のあり方を熟知し、十分な技量を備えれば、それだけですごいことなのだ。その上、2:2練習で互いの位置関係やカット・パスのタイミング、スペースの作り方、スクリーンの利用や対応、動きの中でのシュートセレクション(いつシュートするべきかという判断) などを十分に学べば、5:5やゲーム中の動きも惑わずできるようになるというのが、私の理論である。ただし、中途半端な理解では絶対ダメなのだが…… パス練の偏り以外に気になるのは、練習試合の多さ。どうして皆さん、ゲームばかりやるのだろう?教え子の一人に「ゲームばかりやってても強くならんよ」と言ったことがある。すると彼は、自分の選手時代、あまり多くの練習ゲームをしなかった過去を思い起こし、「そうなんですよね」と答えた。「確かに練習試合少なかったなあ……」と。(彼の時代に全国で勝ったし、その前後年も県の上位にいた)
「1:1(DEFも含む)を徹底的に鍛えなさい」そして、「2:2の理論といくつもの動きを深く追求しなさい」。この言葉を贈りたい。NBAのみならず、世界中のチームで頻繁に使われているPnR(Pick & Roll ピック&ロール)だって、代表的な2:2の技術である。そして、展開する各場面に1:1のスキルがふんだんに盛り込まれている。NBAグリズリーズ(当時)・渡邊の「ワールドと比べ、個人技術の差があまりに大きすぎる」というフレーズを、指導者・選手とも思い起こしてほしい。特に、育成年代での練習を改革すべきだ。日本がトップの仲間入りするスタートがそこにある。
1:1の場面を整理しておこう。9/23.29の練習に参加した生徒や父兄は、一部体験済み。
①振りきりの技術…スローインの時などにDEFを振り切れず、パスカットされることが多い。はっきり言って、小中学生の多くは、ものすごく下手だ。
②ドリブルで相手を抜く技術…スクールでは主に瞬間抜き。他のパターンは進度に応じ練習。
③ドリブルを取られないようキープする技術…主な目的は守り切ること。チャンスに抜く。
④ピボットだけでボールをキープする技術…⑤にも関係が深いが、ピボットだけで、DEFをひらひらとかわす。強豪と弱小の違いが出る。
⑤プレスDEFを打ち破る技術…Wチームのかわし方はむろん、ひっかからない方法も学ぶ。
*①~⑤では、ボール運びの1:1について述べた。
上の5つは、主にOFFに関わる技術だ。本来は、シュートセレクションやシュートスキルも入る。当然ながら、これらに加え、DEFの技術があるし、どちらにも関連する、Rebやルーズボールの技術だって含まれる。目の前のDEFをかわして出すパススキルなども入れねばならない。1:1といわれたら、抜くドリブルしか思い浮かばないのではダメ。範囲は非常に広い。
上の5つのスキルは、どういう練習で身につけるのですか??今までのブログ原稿で書かれてないのは、また、近いうちに教えてください。
OK。いずれ関連過去原稿やスポット解説原稿を出すつもりなので、楽しみに待っててな。*R4.10現在、すでに全記事のアップが済んでいる。「ジャンル別 目次」から拾い読みしてほしい。
サッカー、ザルツブルグ所属(当時)の南野拓実が、2日に欧州王者リバプール戦で、ワールドクラスのボレーシュート(思わず震えが出そう)を決めた。それほどの個人技があるから、海外で活躍できるのだ。スクールのみんなには1:1が重要だと、何遍も繰り返している。「OFF・DEFとも、1:1の技術があまりに薄っぺらすぎる」と、育成年代から強く意識しよう。
1ページ目だけで終了した原稿であるが、11/2.3の2日間で教えたポストアップからのピボットシュートについて、説明を加えることにした。その結果に至った理由は次のとおり。
何種類かのシュート練習を終えてから、それらのシュートを活用して、DEFと1:1をやった。その際の約束事で、「習ったパターンしか使ってはいけない」と私が指示を出したのだが、どうも皆さん、なかなか覚えてくれない。頭に入ってなければ、やりようがないはず。「完璧に頭に入った人?」と尋ねたら、2人だけ挙手。せっかくやった1 on 1のスキルなので、忘れ去る前にアップしておこうと考えたのである。本当は、家に帰る道々、車中で場面を思い出し、ドリルした1個1個のシュート動作を頭の中で整理する。そんな努力を全員にしてほしいのだ。私が生徒だったら、必ずそうする。多分、帰宅してからももう一度、頭に思い描いてみる。そして、知識をバッチリ定着させる。これは、バスケだけでなく、私が何か知識を学ぶときの常套手段(常に用いる方法)だ。みんな、バスケを学ぶために、精一杯の努力ができてるかい? 努力とは、体を動かすだけにあらず。このあたりに関わるのが、原稿17「能力とは何?どう鍛える?」の後半に記述した精神的能力。もう十回読み直してみてくれ。原稿17は後日UP予定。(2.16ブログ配信済み)
さて、ピボットシュートの解説に入ろう。教えたのは、全部で6種類+1。+1は中学・高校上級者限定である。まず、下の図を見て、場所の名称やDEFの付き方を覚えよう。
攻め方①~⑥は、すべて左右のターン2つがあり、どっち側でもやれないとダメ。より効果的なのはどっち側か、DEF次第で変わるから、意識して練習・試合で実践しよう。
ビハインドにDEFが付いている場合
攻め方①
左(エンド側)へフロントターン(ピボット180度)、そのままジャンプシュート。
右(ミドル側)へフロントターン(ピボット180度)、そのままジャンプシュート。
攻め方②
左(エンド側)へフロントターン(ピボット180度)、ワンドリからレイアップ。
右(ミドル側)へフロントターン(ピボット180度)、ワンドリからレイアップ。
攻め方③
左(エンド側)へフロントターン(ピボット180度)、クロスオーバーステップで一歩右足を入れ、その直後ワンドリと左足の合わせ、すかさずジャンプシュート。ワンドリブル・ツーステップで打つ。小さめ速いスピードでのステップ合わせが原則。
右(ミドル側)へフロントターン(ピボット180度)、クロスオーバーステップで一歩左足を入れ、その直後ワンドリと右足の合わせ、すかさずジャンプシュート。ワンドリブル・ツーステップで打つ。小さめ速いスピードでのステップ合わせが原則。
攻め方④
途中まで③左と全く同じ。違うのは最後の部分。ワンドリの後、左足を合わせて止まらずに、二歩目を踏み込む。そこで2回目のドリブルを突き、とびついて空中キャッチ、右・左で着地しジャンプシュート。ツードリブル・フォーステップでのシュート。
途中まで③右と全く同じ。違うのは最後の部分。ワンドリの後、右足を合わせて止まらずに、二歩目を踏み込む。そこで2回目のドリブルを突き、とびついて空中キャッチ、左・右で着地しジャンプシュート。ツードリブル・フォーステップでのシュート。ただし、エンドに向かうこのバージョンは、ミドルポストでは使いにくい。エルボーあたりなら上手く機能する。
注意 ①~④とも、ターンと同時にシュートセットを、必ず完了すること(距離が短いので、原則ジャンプシュートとなる。それゆえ、ボールのセット位置は額の上あたり)。シュートが速く打てるし、また、DEFが上を警戒し(シュートを警戒)ドリブルで抜きやすくなる。②③の時は、DEFがしっかりシュートチェックをせねばならない。1人だけで練習する場合は、DEFのコースチェックなどをイメージしながら行うことが、より実戦的練習となる。④のツードリブル目では、3歩目4歩目を大またで行く方法が原則だが、小またで速く合わせる方法もある。なぜなのか?ヘルプDEFのスピードや位置により意図的に変えるからだ。両方できることが望ましい。
ローサイド・ハイサイドにDEFが付いてる場合
攻め方⑤
DEFがローサイドに付いてる場合には、OFFは右足を1歩下げて、体の向きを90度転換する。(ドロップステップという)リバースターンのような感じ。この時、しっかりパワーポジションを作り、DEFを自分の背中でブロックする。決して押され負けてはならない。その後、強めに低くワンドリし(できるだけ体正面、両手でバンと突く)、左足を踏み込んでワンステップでオーバーレイシュート。(レーン反対側でやる時は、ドロップ足と踏み込み足が逆になる)
DEFがハイサイドに付いてる場合には、OFFは左足を1歩下げて、体の向きを90度転換する。(ドロップステップという)リバースターンのような感じ。この時、しっかりパワーポジションを作り、DEFを自分の背中でブロックする。決して押され負けてはならない。その後、強めに低くワンドリし(できるだけ体正面、両手でバンと突く)、右足を踏み込んでワンステップでオーバーレイシュート。(レーン反対側でやる時は、ドロップ足と踏み込み足が逆になる)
攻め方⑥
⑤で、速いDEFがドロップステップのコースへ先回りした場合、そのままでは抜けないので、急遽、フロントターンに変更、DEFとの距離を空けた瞬間にジャンプシュートを打つ。大抵このターンアラウンドシュートは成功するが、万一DEFがブロックに来たら、ステップインという応用スキルを使う。
攻め方⑦
ドロップステップを踏ませないほど速いDEFの時、270度のピボットで、超速のフロントターンから一気に抜き去る。(フロントスピンという)上級者のみ練習すればよい。
サイドにDEFがいても、フロントターンする場合もある。DEFの付き方やシュートの打ち方により、変化型は出てくるが、それは後々教えよう。まずやってほしいことを取り上げた。自己流に走らず、この6種+1を優先的に覚えること。逆サイドでの練習も時間をみてやろう。
コメント