練習生原稿10「強豪チームになるには ①」 Sugi Academy R1.7.16
前半は、主に指導者向け。強豪になるまでの長き努力が書かれている。保護者はあまり細かい点まで気にせず読んでほしい。後半は、私が実際に教えた選手・チーム指導の例。こちらはとくとご覧あれ。練習に立ち向かう勇気を手に入れることができよう。
S.Aに来て練習する理由の一つに、うまくなってチームで活躍したい、勝てるチームにしたいというのがあるだろう。保護者の皆さんも重大な関心事、今日はそこを取り上げてみた。だが、詳細には説明しきれない。今まで書き上げた原稿(練習生用を除く)を装丁・製本すれば、A4版で軽く100ページを越える。容易には伝えようがない。言葉足らずの危険性を理解の上、読んでほしい。「うひゃ~、なんじゃこりゃ」そもそも、用語自体が難しい。皆さんの多くはバスケを専門的に指導するわけではないので、全30項目をわかる必要はない。ただ、ほぼ完璧な強豪チーム作りをしようと思えば、これほどやることがあると察してもらえればよい。そして、絶対に理解してほしいことは、S.Aで実施している練習メニューが、各項目とも若番に偏っている事実だ。しかも、実際にドリルしてるのは、記述された項目に関する中でピックアップされた、ほんの数個~数十個のスキルに過ぎない。つまり、膨大な量の中から選別された僅かなメニューを、毎週繰り返し練習しているのだ。
昨日(原稿執筆時点)TVで、日本の優れた製品や技術を、外国人が故郷へ持ち帰る番組をやっていた。(見た人いるかも)その中で紹介された「掃除のプロ・収納のプロ・DIYのプロ」3人組女性がすごかった。香港の狭小住宅を見事に変身させた。そのアイデアや技術力、実行力、相手への配慮など、「これぞまさしくプロ」と呼ぶにふさわしく、強い感銘を受けた。
私もバスケのコーチングプロとして、かくありたいと常々思っている。だからこそ、口だけでなく、いろいろな活動を具現化するよう努めてもいる。上述の30項目はコーチの立場から見たものゆえ、皆さんの活動にそのまま反映はしない。だが、よ~く見ていくと、親として手助け出来そうなことにも気づくだろう。チームが強豪になるためには、3つの条件が必要だ。
ア、指導者が確かなビジョンを持ち、有益な指導をすることが出来る。
イ、選手に真面目さや創意があり、練習へ熱心に取り組む。
ウ、保護者が余分な干渉をせず、あたたかな支援をできる。 だぞい。
どれ1つ欠けても、なかなかに難しい。アはコーチに求められること、生徒にとって重要なのはイだ。上述のように、S.Aの練習会で生徒がやっているメニューは、多くの中のほんの一部。それを強く自覚し、正しく積極的な取り組みにより、1日でも早く身につけてほしい。結果、階段を1段上ることが出来る。それこそは、生徒にしか出来ない普遍の真実である。
練習生原稿「強豪チームになるには ②」 Sugi Academy R1.7.20
原稿①で、「積極的な練習は、生徒にしか出来ない」と述べた。その辺に関し、もう少し細かく過去の練習例などを元に話そうと思う。毎年選手が入れ替わり、新キャプテンが誕生する。29回あったろうか?私はこの間、小学校勤務を5年間、残りは中学で過ごした。中学では、新任校赴任後、4ヶ月で3年生は引退だ。(7月で、最後の公式戦 中体連が終了)これも1チームと数える。(バスケ顧問として29回、学校事情で柔道・サッカーもやった)この間、チームが弱かった時でも市大会でbest 8に残れなかった記憶はほとんどない。つまり、相応の練習をすれば、結果も相応となる。では、具体的にはどんな練習をやっていたのか、過去のものを以下に掲載しよう。*平成2年(1990)の新チーム夏休み練習例(1年後、中体連中部大会優勝)。その他どの年でも、メニューは似ている。難語句がわからずともよいので、皆さん、よ~くご覧あれ! S.Aの練習会でやっているメニューが結構入っているのに気づくだろう。
1,アップとパス 10分 ランニング・シュートジャンプ・ショートダッシュ数本・対面パス(ランニングチェスト30本、サイドハンド左右20本)
2,ルーズボールからのレシービング・ザ・ボールドリル 5分 右・左・ジャンプ・縦足(ジャンプリバース)・ターン・ピボット 2人組で2セット
3,DEF基礎ドリル 20分 グループスライド、ジグザグ・アームバー・ラングライド3往復、ラグビー2本
4,パスドリル(発展) 30分 トライアングル・片手バウンズ・サイドハンド・トライアングルラン・フリップなど、パス鬼1分×4セット(ペナルティあり)
5,シューティング 30分 3点ライン上5ヶ所からの1分間シュート(ドリブルS、ジャンプS) タイムオーバーはダッシュ、シュートミスは5倍スクワット *プレッシャーをかける
6,1:1ドリル 35分 サークル内ドリブルキープ15秒×2 負け=腕立て10回 振り切りと寄り10分、フルコート1:1 3往復、1:1コンバージョンドリル
7,速攻ドリル 20分 ツーメン(縦半コート2:1)10分、スリーメン10分
8,確認ゲーム 15分 練習メニューを意識してのスクリメージドリル
練習時間が意外と短いわね。でも、練習メニューは、聞いたことないようなのも入ってるし、かなり細かいようだわ。
上述内容は夏休み中の練習なので、やや長めに3時間で組んである(そもそも私は長時間練習を好まない)。もちろん、9月になり学校が始まれば、練習時間は短くなる。冬場などは1時間未満なんてことも……。さすがに閉口するね。それでも、時間を無駄にせずドリルせねばならない。指導者の腕の見せ所だ。9月からは、若干メニューを減らすことを余儀なくされる。だが、練習の方向性は、私の場合、大きく変わらない。シーズンにより、チーム戦術的練習が優先されはするが、だいたいに於いて、「ファンダメンタルと発展的個人スキル」のアップこそを、最も重視する。それでずっと勝ってきた。誰にも否定できない事実である。勘違いしないでほしいことは、選手の質。実績を持った優秀なメンバーが入ってくることはたまにある。だが、そうじゃない場合も多い。この年のメンバーだって、主力2人がミニで市best 8 にも入っていない。1年Cは170cmくらいあり、運動能力はよい方であった。主力の1人は全くの無名といってよかろう。だが、2人とも努力を積み重ね、静岡市を代表するようなスリーポイントシューターになった。「うまくなりたい、強くなりたい」という願望が、日々の鍛錬を通じ結実したのである。
以前、S.Aでの練習を「まるで魔法のよう」と言ってくださった方がある。指導者として、これ以上の喜びはなかろう。その見立てに対し、素直に感謝したい。だが、私は魔法使いではない。一夜にして、生徒達をスーパーマンにすることなど不可能だ。「鋼鉄をねじ曲げ、自在に空を飛び、弾丸の速さで隕石を砕く」そんなファンタジーの中のヒーローになりたいのなら、鋼鉄を曲げる力・宙を舞うジャンプ力・弾丸のごときスピードを、皆がそれぞれ身につけねばならない。能力も技術も「学んで身につけるのは生徒自身」、「そのための方法や近道を教えるのが、私の仕事」である。
S.Aで習ったことを、自宅に持ち帰り個人練習してほしい。月に1~2回しか来られない生徒は、特に配慮が必要だ。学校の練習の隙間時間にドリブルしたり、前回習ったプッシュパスやヘッドパスをゲーム中に使って、ポストへフィードしたり、1:1場面で瞬間抜きドリブルをやるタイミングを虎視眈々(トラが獲物をじっと見下ろすようにチャンスを伺うこと)と狙ったり、パスのクウォーターミートからアウトシュートを打ったりと、やれることはいくらでもある。地道な練習の上、失敗を恐れず果敢にトライし、それを冷静に振り返る。そしてまた、新たに挑戦する。そういう人こそが上達する。実践を期待し、擱筆(書き終える)としよう。
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