練習生原稿109「ウイークハンドの克服」 Sugi Academy R5.2.23
右利きにとっては左手、左利きにとっては右手が、ウイークハンド(日本語には、利き腕の反意語はない。そこでブン爺は英語で表記してる。ウイークer ハンドの方が適切かもだが、イメージは湧くだろう)。日常生活において使用頻度が少ないから、差が出るのは当然だ。しかし、プレイをするにはいずれも同様に使えるのが大変有利。そこで、初・中級と中上・上級の2段階に分けて、学びたい内容に触れた。
初・中級者に望むこと
まずはドリブル。右手しか突けない生徒が初級者には多い。DEFが右に居るのに右手でドリブルすれば取られるのは当たり前。左側にドリブルコースが空いててもわざわざ右に行ったりする。ミニバス生徒は、かなり訓練しないと、左右をうまく使うのは無理だ。中上級レベルくらいでも、同等まで熟してる生徒は少ない。そして2つ目がシュート。アンダーレイアップの練習で、右中心にやることが多いのだろう。右ステップは身についても、左ステップができない。だから不自然なシュートになる。左レイアップがなかなか向上しない原因なんだ。もちろん「左手でシュートする」という難しさもあるがね。タイトルの「ウイークハンド」に囚われすぎないように、動作のバランスには足も関連深いぞ。従って、ストップドリルの足も左右同等に練習すべし。クローズアップやオーバーレイシュートでも、左と右ではシュート率がかなり違う。どっちも十分使えるよう練習しよう。
このレベルでは、OFFが右ドリブル中心のことが多い。すると、DEFとしては自分の左側にスライドするケースが自然多くなる。それは右へのスライドステップが上手くなりにくいという意味。うっかりすると、はまる落とし穴だ。
チェストパスに左右はないが、スリーメン等で使うチェストでは、やや右・やや左という区別がある。ランニングパス練習をやってないと、こうしたニュアンス(ちょっとした違い)を理解できないし、実際場面で上手く対応もできない。ワンハンド系のプッシュパスやサイドハンドなどはなおのことだ。どうしても逆の手が練習不足となりやすい。ブン爺も、右のドリブルスナップパスは、かなりの精度で自信あるが、左はそこまで行かない。だからまず、中級レベルまでに、一応できるようにしておくこと。精度を高めるのは中上級からでいいだろう。パスも種類多いからねえ、練習は楽じゃない。 教え子の投稿文 両手を鍛える https://saschool-blog.com/?p=4577
中上・上級者ならここまで
左右のドリブル・シュート技術を全く遜色ないレベルまで引き上げること。これだけでもなかなかに困難だ。次は、ややハイレベルなパスの精度を上げる。ここまでできれば相当なものだね。もうそれだけで、十分な闘いができるようになる。
次に考えるとしたら何か? Rebであろう。左右を使い分けて片手Rebできる選手を見ることは稀だ。そもそもワンハンドReb自体難しい。しかし、両手Rebに比べ高さが出る。ゴール側から外に向けて引っかけるようにボールを掴むんだ。かなり有利になる。同様に、片手タップをもドリルしたい。これまた上級スキルとして活躍する。タップシュートだけじゃなく、片手Reb上達にも繋がるし、連続跳びRebにおいて不可欠だ。
最後は、シュートブロック、ドリブル・パスカット。いずれも、OFFとの身体の左右のズレにより、ブロックやスティールが僅か遅れることがある。そんな時、左右の腕を使い分けられれば、非常にDEF精度が高くなる。ただし、Reb含めこれらの練習優先順位は、決して高くはない。スキル的にハイレベルだし、もっと先に学ぶべきことがたくさんあるからだ。順にスキルアップしよう。その上で必要性が出てきたならば、取り組めばいい。NBAスキルには違いないのだから……。
生徒Mが、試合中に出したパスが秀逸であった。ルーズボールを追い、Wチームをかわしながらポストへフィードした。身体能力が高くてアイデアのある男子なら、たまに見られそうなプレイ。しかし特に、ミニバスや中バスでは、思うような展開にできずミスすることが多いだろう。レフトハンドでのクイックショルダーパス、あまり見られないパスだ。スクールでも、そのパス自体を練習してるわけじゃない。サイドハンドやプッシュパス、オーバーレイシュートなどを日頃からドリルした結果、少し応用を効かせて成功できたものだろう。そこには、「1%の閃き」も確かに存在したんだ。連写画像で解説するので、ファンダスキルの発展系として、是非参考にしたいなあ。 1%の閃き https://saschool-blog.com/?p=3088
シュートに対し、白チームはしっかりスクリーンアウトしている。左写真○の赤プレイヤーがMである。外に押し出されつつも、諦めず腕を伸ばしボールをチップした。結果ボールは2枚目写真のように転がり、Mはすかさずボールを追った。そして3枚目でボールに追いついてる。ここでMのとる行動は2つある。キャッチしてストップ、ゴール方向にピボットする方法。もう一つは止まらずそのままドリブルに入る方法だ。彼女は後者を選択、この方がプレイの流れとしては速い。ただし、コーナーが近くてスペースは狭いので、ドリブルが捉まるリスクを背負わねばならない。
ボールを追ってきた勢いのため、サイドラインギリギリまで走りドリブルを余儀なくされた。白DEFも鍛えられている。コーナーが近い優位を逃さず、すぐWチームに来た。しかし、2枚目の写真を見よう。Mの顔の向きである。しっかり右方向を確認し、Wチームやポストの状況を理解している。ここで1:2ドライブ勝負という選択肢もあろう。だが、迷わずポストフィードを選んだ。このようなケースでは気持ちが動揺し、ドリブル継続でもストップでも中途半端になることが圧倒的に多い。
「迷わず」と上述した理由は、左写真○のボール位置を見れば理解できよう。ドリブルストップと同時にボールが持ち上げられてる。そして2枚目ではジャンプが始まり、左手というウイークハンド1本でポストへのフィードを狙っている。直後、ボールはポストマンへ収まった。全く迷いがない、淀みなく流れるプレイだ。
「Rebからルーズボール奪取」「サイドライン際を即座にドライブ」「狭いコーナースペースでのWチーム対応」「ジャンプしながら左手でクイックショルダーパス」よくよく観察すると、いろんな要素がわかるだろう。皆にわかってほしいのは、一連のプレイが「Reb意識・ルーズボール・ドリブル・視野・ストップ・数種のパス・オーバーレイシュート」というファンダの段階的積み重ねから生まれ、「1%の閃き」で完成したという事実なのである。
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