バスケ配信  ファウル の理解は、プレイを伸ばす📷📷

練習生原稿114「ファウルの成立を知る」     Sugi Academy R5.4.23

試合中に、「今のファウル?」「OFFファウルじゃない?」などという疑問を何回も持っただろう。生徒達は無論保護者もだ。数多いルールの中で、最も問題になるのが「ファウル」という反則。特にパーソナルファウル(押す・ぶつかる・叩く・掴むなど、コート上のプレーヤー同士の接触によるもの)について、今日は解説を進めよう。直接的スキルではないが、準じるものと考えてほしい。詳しく述べると膨大な量になる。また、JBA(日本バスケ協会)の出しているルールブックの文章をそのまま載せると、審判経験者でも結構わかりにくい。そこで、私流にかみ砕いて説明したい。微妙な差異の出ることはあるかもしれないが、わかりやすさを優先しようと思う。

パーソナルファウル(以後、単にファウルと表記する)の定義と成立

具体的なコンタクト(身体の接触)が、事実として起きた場合。「何となく押したように見えた」では、ファウルじゃないのだ。そして、発生したコンタクトの責任が、いずれかのプレイヤーにあるのかどうかが次の問題点。たとえば、ルーズボールを両チームの選手が追いかける。どっちの選手もとれそうな位置にいる。夢中で追いかけ二人がドンとぶつかりあった。そんな場合、激しい接触でもいずれかに責任を求めるのは難しい。だが、僅かに走り遅れたBがAに当たったとすれば、Bの責任でファウルになるだろう。ボールめがけて走る最中、Aが腕を伸ばしてBの進路を妨害すれば、Aの責任が問われることにもなる。また、まれではあるが、どっちも接触を避ける意思なしで極端にぶつかれば、Wファウルの対象ともなり得る。放置すると危険プレイに発展するかもしれないからだ。

昔こんな事例があった。高校男子中部大会決勝、県の審判委員長ともう一人もかなり優秀な審判。OFF AがDEF Bと1:1、ドライブを仕掛けた。抜けるスペースはあり、Aが勝ったかと思った瞬間、すさまじいスライドでBがドライブコース正面に入ってきた。「ドン」という音、少しバランス崩しつつも両者倒れない。コート脇でこのプレイを見てたブン爺、一瞬「んっ」と迷った。「ファウル?……」結局、審判2人とも笛は鳴らなかった。試合終了後、彼らに冷やかしの言葉を掛けるブン爺。「さすが名審判、よく流したねえ」無言の2人、でも目の奥が微笑んでいるようだった。「吹かなかったのか吹けなかったのか」今となれば、知るよしもない。しかし、あれはファウルを吹かずで正解なのである。正面で受ければOFFチャージングになるケースが多いが、それは一つの判断材料にすぎない。状況を無視し単純な尺度でジャッジしてはならない。あのようなハイレベルの攻防に水を差すことになる。

もう一つ、ファウルの成立基準で難しいことがある。コンタクトが起きた場合、それが、プレイに影響を及ぼしてるのかどうかだ。ドリブラーの横から接触しスピードが落ちれば、明らかにファウル。しかし、ドリブルのボールをカットに行って、指2本だけつい触れたなんてのはどうだろう(以前ルールブックには、ボールと一緒につい手をたたいた時はファウルではないという表記があった。多分、そのルール生きてるだろう)。コンタクト影響の判断基準は、R(リズム)S(スピード)B(バランス)Q(クイックネス)を考慮するというのが普通。つまり、動作のリズムが崩れない、スピードが落ちない、バランスに影響しない、鋭い動きが変わらないなどの場合は、「ファウルが成立しない」のだ。同じ指2本の接触でも、空中でのシュート動作ならシュートバランスに影響しそうだ。ならば、ファウルになり得るかもしれないなあ。

試合にもよるが、ほんのちょっと触っただけで、「ピッピコ、ピッピコ」笛鳴らす人、結構多いよね。自分のジャッジに陶酔とうすいしてる(気持ちよくっぱらう)ように見えることがあり、爺さんには相当気になる。反対に明らかなファウルが見過ごされ、ラフプレイのオンパレードみたいなゲームもある。いずれも、ゲーム理解やプレイの知見が低いうちは起きやすい問題である。動作・位置取りの優位や影響、シリンダー理論、ハンドチェッキングなどが、「ファウル成立や責任の有無」に関わる。むろん、スキルアップにもだ。既に過去ブログにて解説してるので、併せて利用願いたい。 シリンダー理論 https://saschool-blog.com/?p=4092 ハンドチェッキング https://saschool-blog.com/?p=3813

審判の疲労度は激しいし、チーム事情などでやむなくやってる人もいるだろう。しかし、ゲームは皆で作るもの。選手達の頑張りが否定されるようなジャッジは、やはり問題なんだ。技量の高低は致し方ないと思うが、いろんな意味で真摯しんしに対処されたいと願うばかりである。なお、より具体的で細かな場面におけるファウル例やハンドチェッキング例を、後々Spot解説する機会もあろう。 名審判のジャッジ https://saschool-blog.com/?p=4972

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スクールのN先輩の練習試合、ポストの闘いが迫力凄い。女子だとなかなかここまで行かないけど、上級になるには必要な知識だし、スキルも覚えなくちゃ。コーチがポストバトルでのファウルを解説してくれたわ。

まず左上写真を見てほしい。青5がポストアップし、Nがそれに対応しようという場面だ。右写真ではNの姿が写っておらず、接触状況ははっきり確認できないが、ここまではあまり問題なさそう。

左写真の部分に注目。OFF 5が左腕をNの肩に巻き付けてる。中央写真では、NがOFFの腕に対抗し押し返している。さらにバトルが激化したのが右写真。二人ともパワー負けしないよう必死の攻防だ。強いハートは是非見習おう。では、審判の視点でこれをどう判断するのか?? OFFがDEFを嫌ってこのように腕を巻き付けるのは、ファウルとなる。特にシリンダー理論が強く示されてからは、バトルの焦点の一つだ。

7枚目の写真を見ると、Nが青5に寄りかかり押している。最後の写真では一層明らかだ。審判はこの辺りで笛を鳴らした。白Nのプッシングを吹いたのである。私は現場で見てたわけではない。動画を通じてなので、見落としを否定できないが「どうも納得いかない」。攻防の最後部分だけ見ればNのファウルだが、最初にファウルして原因を作ったのは青5なんだ。本来は、その時点でファウルがコールされねばならない。

青5にとっては、正しいスキルを学ぶ機会の喪失そうしつ(失うこと)。Nは誤ったプレイをOKと勘違いするかもしれない。一連のプレイは、選手個々の動きいくつかで構成される。ファウルの発生のみならず、プレイの良否にも必ず原因が存在する。私達は、そういう部分にこそ目を向けたいものである。

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