練習生原稿99「有効な腕の使い方、アームバー」 Sugi Academy R4.11.18
アームを上手く活用して、プレイに生かそうという狙い。キープドリブルでは説明済み、今日はDEFにおける有効な使用法を説明する。スクールではすでに何度か練習しているが、見た目よりずっと難しく、技能化しにくい。
ドリブル1:1場面。図1のようにOFFがウイングポジションから右抜きを狙ってるとしよう。DEFが下手なら一気に抜かれて終わるが、このDEFは割と上手くてドリブラーについて行ける。もちろん、ドリブラーの技術も高い。そんな2人が闘うと、最初の内は勝負がつかず、2人横並びのままゴール方向に進んでいくことが多い。「ドリブルは進むけど抜けない」「抜かれないけど止められない」そういうイメージだ。○はゴールへ行きたいのに、DEFに粘られ少しサイドライン側に押し出される。ベースライン方向に行かされてる感じになる。しかし、やがてドリブルスピードが上がってくると、○は力強くゴール方向へと進路を変え、DEFをえぐろうとする。問題はここからだ。一連の流れを次の図で示そう。
~~~部分が、DEFをえぐる場面。ドリブラーは、シュートのためにゴールへ向かいたいので当然このような動きになる。これを止めるのは容易ではない。DEFが頑張って、図のように完全に抜かれずついて行けたとしても、レイアップシュートに持ち込まれる確率は高い。それだけじゃない。両手を広げたままDEFしてると、スピードの増したドリブルを左腕で押さえたり、えぐられるのに耐えられず上半身が当たったりするんだ。完全にDEF側のファウル。多くのプレイヤーが経験してるだろう。
こんな危機的状況を回避できるスキルが「アームバー」。だが、そのやり方を説明する前に、2人の闘いを「シリンダー理論」の観点で見直してみよう(ハンドチェッキング記事の最終部分参照 https://saschool-blog.com/?p=3813)。シビアな競り合い場面における「ファウルの正しい判定」は、プレイの上達に不可欠。そしてそれがわからねば、アームバーの習得もできないからである。
上図1番は、OFFとDEFのシリンダーが接近してる状態。2・3番は、動きながら互いのシリンダーがぶつかり、火花を飛ばしてる状態と形容できる。4番目ではどうか?図どおりの平行な位置関係なら、2・3場面と大差ない。しかし実際には、ドリブルスピードのアップとえぐりに耐えきれず、DEFがわずかに遅れ始める。それは、シリンダーがぶつかるじゃなく、重なってきたことを意味してる。互いのシリンダーに侵入してるから、どちらもファウルする危険が高まってるのだが、そのリスクは遅れ始めたDEFの方がより高いのだ。
図1を人型で表したのが右図。シリンダーが接近してるとわかるだろう。ドリブルが始まると、互いのシリンダーがバチバチと接触する。そして最後、上図4番のようにドリブラーがえぐりだすと、ほとんどの場合、シリンダー2つが重なり始めるのだ。そうなると、上述したとおりDEFファウルになりやすい。
DEFファウルのリスクを下げ、きっちり守り切るスキルが必要なのである。では、アームバーはどうやるのか?シリンダーモデルの青色女子選手の腕を見てほしい。両腕を開いている。1:1スタートからドリブル途中までは、この腕でよい。しかし、ドルブラーがえぐりだす直前には、その圧力に耐えられる状態になっていなければならない。そのときにアームバーを作るんだ。このケースなら、青DEFの右腕を直角に曲げ、自分の胸の前に置く。右腕が直角の堅いバーのようになる。右手の指は握ってげんこつを作る。すると、腕全体に力が入りより堅くなる。このアームバーが、立ち入り禁止の鉄柵みたいな役割をして、中をえぐろうとするドリブルの侵入を防ぐ。アームで積極的にOFFを押せばファウル。だから自分から押しに行ってはダメだ。あくまでもOFFの侵入に耐え跳ね返すイメージである。つまり、アームバー自体がDEFのシリンダー内に収まってることが肝要。DEFの顎の真下付近に前腕部がセットされる。原則、バーと自分の胸は平行になる。シリンダーをつい越えてしまう所に、この技の難しさがある。
アイキャッチ画像(目次ページ)に使われてる写真を見ると、赤DEFの左手が、自分のシリンダーを出ているわよね。Bunコーチに確認したら、やはり「DEFのファウルとられるだろうね」ですって。審判の技術によるけど、ハンドチェッキングになる確率が高いらしいわ。ハンドチェック https://saschool-blog.com/?p=3813
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