練習生原稿 臨時号「0ステップとトラベリング迷い例」 Sugi Academy R4.6.20
いや~、驚いた。保護者から寄せられた質問、核心に迫る凄い内容。ルールに関するものだが、是非紹介したく原稿執筆に至った。今後予想される課題も含め説明しよう。R3.11.30配信「ゼロステップの理解……」は、R4.6現在47ビューと異常に少ない(R4.11.5現在、82ビューまで増えた)。皆さんの興味がスキルに行きがちなのは理解できるのだが、ルールがスキルに直結することも少なくない。今回などまさにそれだ。ゼロステップ活用は、スキルを大きく伸ばすので、是非、しっかり学んでほしい。審判の問題だけではない。0ステップとユーロ https://saschool-blog.com/?p=2173
今回の保護者質問は、2のケースである。右方向から来た味方のパスを受けた瞬間、選手Aは連続的にドリブルへ入った。そして、これを審判がトラベリングと判定したのだ。動画を見てた私も、一瞬「うん?」と思った。セーフなんじゃない、と。だが、動画では右斜め後方から映っていたため、足の微妙な動きが見にくい。5回見直し、「トラベリングっぽい」と結論を出した。「なぜ?」「ルールどおりじゃん」と、皆さん思うよね。質問者もそう感じ、「ゼロステップじゃないのですか?」と聞いてきたのだろう。トラベリングについてもっと知りたい、子の疑問に納得できる説明をしたいという。
0ステップ適用場面は幾つかあり、ドリブル始める場合の約束は、次のようである。「0ステップを使いドリブルを開始するには、2歩目が床に着く前に、ボールを手から離さねばならない」こんな細かなルール、普通みんな知らない。どうかすれば、審判達でさえ……。もし、トラベリングを吹いたこの審判が、其処まで知っていてジャッジしたのなら、大変良い目ということになる。だが、何となく流れの中でトラベリングっぽいと、判定してしまう場合もあろう。視力低下のBun爺でも、試合を生で見てれば、まだこのくらいの判定はすぐ出来よう。しかし、動画の制約場面では判定が難しかった。2歩目の左足が床に着く前に、ボールを離したかどうかである。「多分、トラベリング」と返信しかけたとき、スロー編集された動画が届いた。それを見て確信、「トラベリングです」と。保護者もスロー再生を見て、「確かにボールが残ってるように見えます」と納得した。
審判委員長が会場に来ていてこの場面を見たら、試合後の審判反省会で取り上げられそうなケース。そのレベルの話題だ。この場面、旧ルールなら当然トラベリング。万一、審判の知見が低く旧ルール感覚で吹いたのなら、もう言語道断(とんでもない)。改定ルールが一般実施されたのは、2018.4。既に4年以上過ぎてるのだから。
0ステップをスキル面から捉えたとき、まだ効果的な活用が成されてるとはいえそうにない。だから、S.A.では、ユーロステップなど積極的に導入、今後さらなる活用をはかるつもり。だが、本件のように微妙なトラベリングや誤診断を避けるためにも、基本は旧ルールどおりのステップだ。旧ステップをきっちり身につけ、0ステップとの明瞭な違いを区別できるまでは(つまりリトル指導では×)、教えない方が良い。いや、教えるべきではない。0ステップはあくまで発展スキルという位置づけが正しいと考えている。
ただ、0ステップはスキルアップを加速する。これ、なかなかわかってもらえない。日本バスケでは、まだまだ、世間の認識が低いんじゃないかねえ。もう数年すれば、意識がNBA思考に近づけるかもしれないが……。
スクールの皆さんは、世間に先んじて学んでほしい。生徒はもちろん、参観回数の多い保護者も既にその領域へ足を踏み入れてるかな。なお、このような質問は非常に有益。遠慮せずしてほしい。「爺さん大変そう」なんて心配は無用。無理なら無理と私ははっきり言うので……。
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