バスケ配信  スーパードライブと闘うDEFステップ

練習生原稿71「DEFステップの使い方いろいろ」    Sugi Academy R3.4.8

DEFは身体全体を使ってやるものだが、OFFのスピードや変化についていく力が最も必要である。その主役となるのが、ディフェンシブステップ。今日はその種類と使い分けについて説明しよう。ステップをどう使い分けるのかに関し、生徒の多くは考えていない。「何となくやりやすいから」くらいの理由だろう。指導者にも、「守れりゃどれでもいい」と考える人はいるようだ。しかし、動かし方によるスピード効率という力学は存在する。そこをないがしろにするのは、S.A.的ではないのである。

ブンコーチ
ブンコーチ

今日の内容は、DEFステップの説明。まず、1つ報告しよう。先日の大会の中で、練習生Rが、ほぼ100%完璧なビハインドチェンジでDEF4番を抜き、シュートを決めた。基本形の1つだったが文句付けようのない出来。その時、DEFが使ってたのがクロスステップ。あれと全く同じ状況が出来たとしたら、NBA選手相手でも、その瞬間は抜けるだろう(その後追いつかれる……)1つの場面における成功例だが、こういうプレイが出現してきた意味は大きい。今回はそんなドライブをどう防ぐのか?である。この後考えてみよう。

第一に伝えたいのは、「スライドステップクロスステップ」 スライドは、足を横移動させながらつなぎ追いかける技術。DEFにおける最も基本ステップである。それに対しクロスステップは、足が交差する。上半身はOFFの方を向きながら、下半身だけが進行方向へと動く、あたかも走っているような動き方だ。この2つ、どっちが速いのか?単純な比較なら、クロスの方が速い。カニ走りより普通の走りの方がやりやすかろう。小中学生の多くが、クロスステップを踏んでいる。これを次のような視点で比べてみる。すると、大変面白いことに気づく。DEFの出だし1歩目のスピード差をわかりやすく比べるため、下図を用意してみた。1歩目の出遅れが致命傷となることを、一人でも多くの人に知ってもらいたい。「クロスステップの方が速い」という常識の誤りに気づかねば、優れたフットワークを手に入れることは出来ないんだ。

最も重要な点は、クロスの左足が、①の終わりピンク破線位置(空中)にあるとき、スライドでは1回目動作が完了し、進行方向へ30cm位進んでるという事実。クロスでは1cmも移動してない。その後0.2秒で(②)クロス左足1歩目が着地。やっとスライド右足位置まで身体が追いついた。さらに0.3秒かけてクロス右足1歩目が地面に降りる。ピンク破線位置からここまで0.5秒(②+③)。その0.5秒間に、スライドは2回目を終え、加速するから多分、3回目の終了まで行くであろう。1回目30cm2回目40cm、そして3回目40cmという具合だ。つまり、クロスステップ1回踏む間に、スライドステップなら3回、距離にして80cmほど勝てるんだ。時間にして約0.4~0.5秒くらいの差かな。DEFのスタート遅れ0.4~0.5秒の間に、ドリブラーはもう2m近く進んでるだろうねえ。(ドリブラーとDEFの距離がワンアーム1mなら、既に1m近く抜かれてる計算だ

クロスステップ・スライドステップの上手・下手なども影響する。全員全く同じとはならないが、およそこの論理は正しい。また、クロスではOFFとの間に隙間すきま空間ができるが、スライドはOFFに密着して追うことが可能なのでドリブル切り返しやストップジャンパーへの対応もより有利だ。

前述のように、多少長めの距離を走ろうとすれば、スライドの横移動より、普通に近い走りのクロスの方が速くなる。だが、セットOFFを守ってるとき、ゴールまでの距離は長くて7~8mほとんどはもっと短いだろう。こんな短い距離でスタートが0.4~0.5秒遅れたら、全く取り返しがつかない。つまり、DEFの1:1敗北である。一方で、オールコートのボール運びなどでは、走って守る距離が長い。わずかな出遅れなら、走力次第でカバーが可能なのだ。正しく使われれば、クロスステップの優位性もある。しかし、余りに無造作な乱用は看過かんかできない1:1を守れるようになるためには、スライドステップ(スイングステップも合わせて)を磨くことは不可欠。ストリクトDEF(R3.2.12配信)で述べた骨子の部分だ。練習方法は、R2.12.8配信「最優先動き作りドリル」で解説してある。

R2.12.1配信ブログ「瞬間抜き 極意の一つを解説」に、クロスステップへの切返し方法が出ていたわ。今回の配信記事は、それのスポット解説にもなってるのね。

そうだ、確か画像付きで見やすい記事だったぞ。 https://saschool-blog.com/?p=385

それってレベル高めの話で難しかったのか、45ビューと少なめの出だしだったけど(R5.11.3現在 119ビュー)、今回の記事と合わせて読めば、S.A.ドライブの本質に近づけそうね。あの記事はレッグスルー、今回はビハインド使用例だけど、そこは余り関係ないしね。R2.11.21配信「S.A.ドライブの根本原理」は、R5.10現在289ビュー。多くの人に知ってもらえたわ。動きの原理を理解するのは大事よね。 https://saschool-blog.com/?p=154

その他、幾つかのDEFステップを紹介しておこう。 *より高度なのは、練習会で。
ア、ランニングステップ
  普通に、ダッシュなどで使われる走り方。明らかに走り遅れ、すぐ追いかけたい時に使う。
イ、ラン・グライド・ラン
  ランニングステップで追いついた時、OFFのコースへ滑り込むようにスライドする。
ウ、クローズアウト
  主に、ヘルプDEFで使用。離している自分のマークがボールを持つとき、一気にワンアームの距離まで詰める方法。
エ、フロントステップ、リトリートステップ
  前方に出て行くとき、後ろに下がるときの足の運び。足を交互に動かす普通歩きの場合や送り足でスライドする場合もある。OFFの動きに合わせた微調整で使うことが多い。ベルギー戦解説で話したヘルプDEFで、視野確保のためビットリトリートを使ったりもする。
オ、バックランニング
  OFFが相手チームに切り替わったとき、後ろ向きで素早くバックコートへ戻る。

イ・ウはやや難しいので、上達してからでよい。早く覚えたいのは、バックランニング。相手が速攻でボールを運んでいるとき、それを見もせずランニングステップで、自分らのゴールに一目散。どうやってDEFするのだろうか?後ろ向きで走るトレーニングをしてくれ~。少なくも、ランニングステップやクロスステップと併用し、OFFの位置や速さ・ボールの展開を、しっかりと目で捉えねばならない

ブンコーチ
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Bun爺より R4.5.31加筆

誤解されると嫌なので、ずっと書かずにいたのだが、練習生の上達に合わせ紹介した内容を掲載する。クロスステップの問題点を解消し活用する方法だ。DEFの出だしで3歩ほどスライドステップを踏む。それに続けてクロスステップへと切り替えるのだ。こうすることで、クロスステップ1回目の出遅れを最小にし、単純な速さの利を得ることが可能である。些か長めに追いかける場合には、活用するといいだろう。だが、ストリクトDEF徹底の観点からは、安易に考えず「スライドの磨き上げ」に注力ちゅうりょくしたい。相変わらず、生徒へはそれをしつこく指導している。まずはそこだ。指導スタイルを変えるつもりはないが、ゲームの中で、適切な使い分けの出来る生徒が増えてきたのは、とてもうれしいね。

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