バスケ配信  S.A.ドライブの根本原理を解説

今回は、S.A.練習会でも比重の大きいドライブスキルの説明です。具体的なハイスキルパターンを身につけるための根本原理を解説しています。特に、練習生以外にはやや難しく、上級者でないと、読むだけでは完全に理解できないでしょう。でも、あきらめず何回も熟読じゅくどくしてほしいです。少しずつ見えてきます。超重要

生徒はみんな、リトルの時から練習しているんだよな。S.A.でやる瞬間抜きにとって、ものすごく大切な内容だ。

練習生原稿 2「ファンダの深遠しんえんを知る レッグスルー」   Sugi Academy H31.2.27


ファンダメンタルズ(基礎技術のこと)が極めて重要であり、それが私のバスケットの根底にあると別紙にて述べた。今回は、レッグスルードリブルの説明を通し、「ファンダの系統性の奥行きに関して認識を新たにしてほしい」と思いプリントを用意した。「ファンダの範囲」を問われた場合、多くのコーチは、ドリブルの基礎・シュートの基本・フットワークなどを思い浮かべるだろう。だから、ファンダ中心の練習はおもしろくないと考えるのが一般的だ。だが、私の中でファンダが占める部分は、質的な重要性だけでなく、その量も莫大ばくだいである。では、実際の所、どんなことがファンダで、それらが個々にどう繋がっているのか? 38 年ほど前、県下全域に普及させたレッグスルードリブルを例に解説しよう

レッグスルーは現在ほとんどの人が認知しているドリブルの基本技術(ファンダ)だ。1on1の比率が高まっている NBA においては無論随所ずいしょに見られ、この数年来、日本人プレーヤーにも浸透しんとうし、ゲームの中で有効な使い方をされるケースが目につくようになってきた。では、質問だが、レッグスルーを身につけようとドリルする際、皆さんはどんなことに気を付けているだろうか? 理由もつけて5つ述べて欲しい。先日、似た質問をドリブルの上手なある男性にぶつけてみた。「えっ?」という反応。「考えたことないだろ」と振ると、「そうですね、ひたすら当たらないよう注意してるだけです」といった感じの答えが戻ってきた。それでも、運動能力や集中力のある人は、繰り返してる内に何とかそこそこ格好がついてしまう。だが、あくまでそこそこだ、極めることは難しい。まして、能力に恵まれない多くのプレーヤーが、実戦で使えるレベルまで上達するのは、かなり無理がある。質問の答えに入ろう。まず、次のA・B図を見て欲しい。右足前ポジションで説明。

足とボールの位置関係

初心者指導の際、足を置く位置をどう説明するか?それすら考えたことないという人もあろう。だが、初心者にとって股下またした抜きはかなりハードルが高い技術。少しでも楽にするため、足を1直線上に置く(ライン上 に立つ。十字線が良い)ようアドバイスすべきだ。ただ、これも練習上の1つの注意点だが、上の質問の答えではない。Aの場合、足位置にずれがないので、ボールを足の中間地点に落とすことさえ出きれば、割と楽に股下を通せる。ただし、連続するには毎回同じポイントにボールを集めねばならないから、初心者にとってかなりの困難である。さらには、Aのような足位置になる場面は、実際のゲームの中で少ない。ほとんどがBのようなケースである。だから、実戦で使えるようになるためには、このような足位置でドリルしなければダメなのだ。

質問への解答

1,まず、前足のかかとと後ろ足つま先を 線でつなぐ。その線上の中点 にボールを落とす。これはAのケースと同様の考え方だ。

2,次はボールを弾ませる方向。真横ではない。アメリカ人のように手も足も長ければ、真横に叩いても抜けやすいが、サイズの小さな日本人では股下空間が狭いので、足に引っかける確率が高くなる。未発達の小学生なら尚更なおさらのことだ。「じゃあ、どうやるの?」それは、斜めにボールを叩くのだ。 線と直交ちょっこうするようにボールのバウンド方向を決める。こうすれば、まず当たらない。

3,ボールをどっち側から抜くかという点が3つ目だ。Bで今現在、右手ドリブルなら、右から左内側にボールを抜くことになる。(これを右外抜きと呼ぶ)それに対し、左手ドリブルの最中なら、左から右外側に抜くわけだ。(これを右内抜きと呼ぶ)*左足前ポジションなら、左外抜き・左内抜きという。

外抜きも内抜きも双方利点はあるのだが、私は7対3くらいの練習割合で外抜きを推奨すいしょうしている。なぜか?右内抜きをすると、通常、次のドリブルは右方向である。ということは、ドリブルチェンジ後の第1歩は左足のクロスオーバーとなる。それは、オープンステップに比べ、動きだしで距離を稼ぎにくいことを意味している。反対に、右外抜きにした場合重心のずらしがわずかなため、ボールの抜けに合わせて左オープンで一気に飛び出せる。ボールの移動方向も、内抜きはやや後ろ斜め、外抜きは斜め前方であり、どっちが前に進みやすいか容易よういに理解出来るだろう。つまり、抜きの第一歩が格段速い。外抜きを推奨する所以ゆえん。ただ、内抜き後のクロスオーバーステップを踏んだ次の瞬間、左へのバックロールターンを組み合わせる方法やボールを体でカバーしやすい等のメリットがあるため、内抜き練習も必要だ。

4,右外抜きをする場合、ボールはどこにあるのが望ましいだろう? 今 1:1で右へ抜きに行ってるのだから、普通、下図のようにボールは右足斜め前あたりにあるはずだ。

攻めからのボールの引き

誰が見てもわかるだろうが、この位置にあるボールを、そのまま右外抜きするのは無理である。足に当たる。だから当然、ドリブラーは、ボール位置をやや後ろへ持って来てから股下を通す。話題に上げたいことは、そのボール移動のタイ ミングだ。多くのプレーヤーは、上図のようにストップしてから、ボールを後ろに移動していないだろうか? S.A では、「それでは遅い」と指導している。右足が前に出て床に着く瞬間には、右サイドVを完了し、ボールを位置で捉えねばならないとしつこく繰り返している。理由は明白、ドリブルチェンジのスピードが遥かに速いからであり、これが出来ないと強い DEF を抜けないのだ。

5,最後は、ボールを股下通過させた後の動作についてである。右外抜き後は、通常左へドリブルを進める。つまり、チェンジ後の第1歩は左足の踏み込みだ。これをいつやるか? 「いつって、チェンジ後に決まってるじゃん」という声が聞こえそうだが、そういう細かいことこそ、ファンダなのだ。具体的に言うと、ボールが左手に渡ってからでは遅い。床で弾んだ直後くらいには、すでに左足を踏み出し始めたい。多分、それで、0,2~0,3 秒稼げるだろう。


これらが、前述の質問に対する解答だ。誠に持って細かい、しかし奥深く理にかなった、上達に役立つ知識である。大ざっぱに見ても、5つのファンダがここに存在する。実際には、Aの練習までに、フロントVやサイドVの練習で、ボールの軌道を安定させるドリルをこなさねばならない。その際、さらに細かな指使いや手のひらの返し等も指導するのが常である。

たった1つのレッグスルードリブルを完成させるだけで、これだけのファンダメンタルがあり、相互に深い関係を持っている。原稿1の中で、ファンダの数が 1000 を越えるかもと言ったことが あなが ち大げさではないと、理解してもらえたろうか? ネットで多くのドリブル動画がアップされてるが、単純なレッグでも、これほど複雑なのだ。「この動画を見て練習すれば必ずうまくなる、チャンネル登録よろしく」などと言ってる人たちの無知さと無責任さに、少々あきれているこの頃である。まあ、それでも、20~30 年ほど以前の情報がなかった時代と比べれば、ずいぶん恵まれているというべきなのか……

この原稿の元は、本原稿12「ファンダメンタルズの深淵しんえんを知る」である。指導者向けに記述(H29.6)したもので、あと3種類ほどのファンダメンタル例を説明してある。今回は、それを新入生用に編集しドリブル一例だけを掲載けいさいした。S.A.ではドリブル練習の比重が高いので、是が非にも覚えてもらいたい内容だ。それ以外のものについては、練習会の中で追々説明していこう。最も大切なのは、「ファンダメンタルトレーニングの重要性」を強く自覚することだ。

最後に 

ブンコーチ
ブンコーチ

この原稿は、S.A.におけるドライブ技術の根本原理とファンダメンタルの関わりを説明したものだ。実際にドリルしている「必殺!瞬間抜き」では、極意ともいうべき注意点が、フロントチェンジ・レッグスルー・ビハインド・ロール、それぞれに4つずつある。これについて原稿2だけでは説明不足なので、原稿41・56も併用し、理解を深めてほしいね。

母A
母A

早めにアップしていただけるとありがたいですわ。

R2.12.1 R3.7.11 にアップ完了。その他にもドリブル関連は非常に数が多いので、じっくり読みたいわねえ。レッグ画像解説 https://saschool-blog.com/?p=385 4極意まとめ https://saschool-blog.com/?p=1616

コメント

  1. OK より:

    一つ一つのplayのことの解説や方法など細部にわたり掲載されているところがとても参考になります。良いブログです❕

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