バスケ配信  スポーツのケガ、深~く考察・対処・予防 

ブンコーチ
ブンコーチ

この所、スクール生にもケガが目立つ。寒い時期や過密スケジュールになると、多くなりやすい。例えば捻挫。若い頃、小学生の練習相手していて私がジャンプシュートを打った。相手のセンター(170cmくらい)がブロックに来た。彼は頑張ったんだ。でも、キャリア不足で加減を知らない。つい私に近づきすぎた。着地した私の足は彼の足の上、思いっ切りひねった。大人同士ではもう少し上手く加減できるので、避けられそうなケガだったが、まあ、仕方ない。足首の柔軟性に多少自信あったから、それまでは捻っても「痛っ」くらいで済んできたのに、人生最初で最後の大きな捻挫となった。このケースは不注意とまでいえないよね。少し運がなかった。ケガの知識を身につければ、「避けられる可能性がUP」するぞ

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私もこの前、捻挫しちゃいました。

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オレなんかしょっちゅう転んだりぶつけたりしてるよ。ケガを少なくする方法勉強しよっと

練習生原稿50「青少年期のスポーツ外傷・障害」    Sugi Academy  R2.9.20

外傷とは、外からの衝撃しょうげきによる一時的なけがのことで、障害とは、ある程度長い期間に渡って無理をし、体に負担をかけた結果出てきた痛みや変形などをいう。捻挫ねんざ・骨折などは外傷であり、スポーツをしていれば「誰にも起こりえること」だ。今回は、スポーツ外傷・障害のいくつかを取り上げ解説する。適切な練習法・練習量を再考する機会にしてほしい。

よくある外傷
打撲だぼく……何かにぶつけたり膝や肘が当たったりして痛める。軽ければ、ほったらかしでもじき直るが、ひどいと皮下出血や腫れなど伴う。数日痛みが残ることあり。
捻挫……関節に力がかかりはずれかかったもの。関節は2つの骨が繋がる場所。でも、並んでるだけでは、簡単に骨がずれたりしてしまう。だから、そうならないように、靱帯じんたいと呼ばれる組織太めの堅いひものようなものが骨と骨をしっかりつなぎ止めている。靱帯はかなり丈夫だが、無理な力がかかると伸びたり断裂する。これが捻挫だ。よく起こるのは指の捻挫「突き指」。ひどいとふくれ、青黒くなることもあるが、多くはそれほどにはならない。足首の捻挫も、時折みられる。足首の骨の構造上、外側にはねじれにくいから、ほとんどは内側にねじる(内転、内反)捻挫である。複数ある靱帯の中でも、くるぶし前の靱帯(前距腓ぜんきょひ靱帯)を痛めることが多い。捻挫は痛みや腫れが少なければセルフケアでよいが、靱帯に引っ張られ、骨の付着部ががれる剥離骨折はくりこっせつ等を起こすこともある

①②とも、原則は冷やすこと。腫れがあり熱を持ってるときは冷やす。特に酷いなら、氷で冷やすと効果的だ。ビニール袋にでも入れ、患部に当てる。3分冷やして2分休憩という具合に数回繰り返す。時間は厳密じゃなくてもいいかなあ。その後は普通の湿布薬を貼っておく。その晩の入浴では、患部を湯船に入れないようにする。2~3日たつと、腫れや熱が取れてくることが多い。そうしたら、原則は温めること。その方が血行がよくなり治りが早い。いつまでも冷やすと、筋肉が固くなり痛みも抜けにくい。「冷やす・温める」は微妙な差、これ、多くの人が知らない。要注意。


脱臼だっきゅう……関節に過大な力がかかり、外れてしまったもの。捻挫よりずっとひどい。明らかに外部変形がみられ、強い痛みと腫れ、しびれが生じる。一刻も早く元 に整復すべきだが、知識不足の手当には勇気がいる。医療機関で受診。 バスケでは、手の指でまれに起きる。私自身過去に経験あり。
骨折……骨が折れるあるいはひびが入る。明らかに変形すれば判断できるが単なる打撲や捻挫と区別できない場合もある。痛みがひどくて抜けないなら、念のため通院を。骨折は固定して動かさないことが大原則。結合組織が出来てこないと治らない。でも、小中生の時期は修復能力が高いので、意外に早く治癒ちゆする。しばらくは我慢が必要だ。
肉離れ……正確には筋断裂きんだんれつの一部で、範囲の狭いものをいう。瞬間的な負荷に耐えられず、筋肉の繊維が伸びすぎて何本か切れる、筋膜を痛める。ふくらはぎやももに起きやすい。ひどい断裂例がアキレス腱断裂。取りあえず、応急処置は冷やすことだが……。素人は余り触らない方が無難だろう。筋が切れる程じゃなくても、疲労しミネラルが不足すると、筋の収縮・弛緩しかんが上手くいかず、「つる」ことがある。これまた痛い。

主なスポーツ障害
具体例を解説する前に、「骨や筋肉の成長」について少し話そう。その方が全体の理解が しやすいからである。少年期は、骨の量が大人に比べ少ない、そして柔らかいということ。 身長が伸びる理由は骨が伸びているからであり、個人差はあるが、10歳頃から顕著けんちょになる(はっきり現れる)。また、やっかいなのは、筋肉の成長が骨の成長より遅いという事実。「骨が伸びても筋肉は伸びない」それは逆の言い方をすると、骨に比べ筋肉が短くなっているという意味だ。これが関節にどんな影響を与えるのか?次図はその影響をわかりやすく説明したものである。説明用なので、図自体は正しくない

黒色の線が2つの骨と関節、赤色の線が筋肉を表している。筋肉はゴムのように伸びるものなので、10cmの筋肉の方が2倍くらい伸びる。つまり、関節が十分に曲がりやすいことを示してる。5cmの筋肉は伸びが小さいので、筋肉の力に勝てず、関節が深く曲がらない。換言する(言い換える)と、一般にこの年齢の子は、体が硬い・柔軟性がないとなる。
骨はその先端付近で細胞分裂を繰り返し、長さを伸ばしていく。「成長軟骨」つまり柔らかいのだ。高校生終わり頃になると、この成長は止まり大人の硬くて丈夫な骨へと変わるが、小中学生の時期は骨がやわなので、ちょっと大きめな力が加わるとすぐ壊れやすいトレーニングで太く強くなった筋肉は大きな力が出るそれなのに、長さは短くて伸びにくい。そこへオーバーワーク。骨や関節が耐えられず壊れるのは、ごく自然だろう。だからこそ、「成長病(痛)」とも名付けられているし、時期を待てば治癒もするのだ。ただ、本来、「成長痛」とは幼児期に多く見られる下肢中心の痛みをいい、炎症や骨の発育とは無関係、ストレス説が有力だが原因もはっきりしないという。だから、はっきりした原因や炎症が見られるなら、スポーツ障害と定義するのがより正しいと思われる。

伸びにくい筋肉を、ウォームアップで柔らかくすることはとても重要スポーツ障害の原因を潰す方法の1つだ。でも、小中学生って、本当にウォームアップがいい加減。知らないのだからしかたないが、その大切さを意識させたい。クールダウンも体のケアのため大事なのだけれど……。

さて、ここからは成長病を含む具体的なスポーツ障害の例を述べよう。種類は様々だが、特にバスケに関係深いような障害を取り上げる。「誰もがなる」わけじゃなく程度の差もある。それでも、「誰にでも起こりうるもの」として、参考にしてもらえればいい。

シーバー病 ( 別名 セーバー病、踵骨しょうこつ骨端症)
 10歳前後の男児に多くみられる病気で、かかとの軽い腫れ、圧痛(押すと痛いこと)、歩行での痛み。過激な運動のあとに症状が出ることが多い。運動などでかかと骨端に負荷がかかり、そこへアキレス腱の引っぱる力が持続的に加わることで、踵骨に血流障害が起き炎症が発生する。軽度なら数週間で復帰できることもある……。


オスグッドシュラッター病

  単に「オスグッド」と呼ぶことが多い。すねの骨(脛骨けいこつ)の膝関節近くで生じる骨端症。骨の変形・がれによる痛みの発生。サッカー、バスケットボール、バレーボールなどの選手に多く、身長の伸びが大きくなった時に、練習や試合のスケジュールが過密になると起こりやすい。詳しい症状・原因・対処法・予防などは、練習生原稿18「ウォームアップ・最大能力・疲労・ケガ」の中で解説してるので、是非見てほしい。3.5.29配信ブログ https://saschool-blog.com/?p=1386

ジャンパー膝
名前のとおり、ジャンパー(ジャンプや着地の動作をくり返しおこなう人)が発症しやすい病気。膝蓋腱炎しつがいけんえんともよばれる。特に膝蓋骨(ひざの皿)の下部からすぐ下側の靱帯あたりに痛みが出やすい。大腿四頭筋や膝蓋腱が損傷する。オスグッドとは似てるけど異なる障害。より若年層ではオスグッド、成長が止まってくると「ジャンパーズニー」という場合がほとんどだろう。全日本女子バレー選手の半分くらいが、ジャンパーズニーに苦しめられていたという話を聞いたことがある。

シンスプリント
脛骨(すねの骨)の骨膜や後ろ側の筋肉(ふくらはぎ)に炎症が起きる。走ることの多い競技で多発する。ふくらはぎ内側の下3分の1くらいが痛む場合(蹴り出すとき痛い)と、ふくらはぎ内側の下2分の1くらいですね骨に近い部分が痛む場合(踏み込んだとき痛い)がある。後者がより重傷で治りにくいとされる。原因は過労であり、重症化すると疲労骨折に繋がる。初期なら、1週間くらいの安静で回復可能。

腰椎ようつい分離症                                         腰椎とは背骨の下側部分、腰のところを呼ぶ名称だ。腰も、様々なスポーツで大きな負荷がかかる箇所。慢性的な腰痛に悩む大人も多い。若い頃の心配は、オーバーワークで腰に疲労がたまっていくこと。ダメージが蓄積した結果、腰椎の出っ張った部分が、折れて離れることがある(一番下の第5腰椎がやられやすい)これが腰椎分離症、腰の疲労骨折だ。ジャンプやねじり系の運動が多すぎるとなりやすいが、疲労骨折なのでオーバーワークにならないよう十分配慮すれば、避けることは可能であろう。でも、捻挫などの外傷のまま無理すると思いのほか疲れが残る。また、体育祭練習などバスケ以外の運動が重なったりすると、さらにダメージを負いかねない。特に、後ろへ体を反らせたとき痛みが出やすい。分離してしまったら、それは骨折なので、固定して動かさないことが原則。早期発見なら手術なしで治る可能性が高いが、それでも3ヶ月くらいは治癒に期間を要する。                                         

前十字靱帯ぜんじゅうじじんたい損傷
膝関節は大腿骨(太ももの骨)と、脛骨(すねの骨)、膝蓋骨(膝のお皿)の3つの骨で構成され、大腿骨と脛骨がグラグラしないように前十字靭帯、後十字こうじゅうじ靭帯、内側側副ないそくそくふく靱帯、外側側副がいそくそくふく靱帯の4つの靱帯でつながっている。膝はかなり大きな力がかかる場所なので、靱帯もがっちりしている内側・外側側副靱帯は膝関節の両側にあり、膝の左右の動きを抑え関節の安定性を高めている。一方の前・後十字靱帯は大腿骨と脛骨の間で交差しており(X型)、前十字靭帯は脛骨が前へ出ないように、後十字靱帯は脛骨が後ろへずれないように動きを抑制しているのだ。いろんなスポーツにおいて、前十字靭帯断裂は高校女子バスケットボール選手が圧倒的多数だという。しかも、単独プレー中の受傷が多い(非接触型 約80%)。男性より女性の方に多い要因は、骨盤の大きさによるX脚が指摘される。着地動作で、膝の屈曲が小さく外反が大きい(膝が内側に入りやすい)ことなどが理由らしい。練習でいつも注意する「正しい姿勢」はスキルアップだけでなく、障害の防止にも深い関係を持つという意味だ。

コーチによると、先日会ったバスケ関係者は、親子で前十字切った経験があると言っていたらしい。治るまで1年かかるなら、選手生命まで脅かされそう。何か対策はないのかねえ?

ブンコーチ
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切り返しやジャンプでの着地など、急激な体重移動によりバランスを崩すことがある。そんな時、過剰に膝が内側に入り損傷するケースが多い。パワーポジションの習慣化は大事だと思う。膝の衝撃を吸収するには、大腿四頭筋の働きも重要。ストレッチ含め、鍛える必要があるね。まだ、ブログアップしてないけど、原稿32「筋肉の種類・鍛え方」の中で、ランジというトレーニングを紹介してある。これなど、前十字靱帯断裂予防に役立つかな。その原稿やSPOT解説など参考にしてほしい。高校指導者の皆さんには、一層の配慮をお願いしたい。

テーピングを知ってると、捻挫等への対応がしやすいわね。でも、本格的にやるのは難しいし、時間やお金もかかる。以前、コーチに簡易テーピング法を教わったのよね。凄く簡単で効果あり、とても助かったわ。その内、アップしてもらえるようよ。 簡易テーピング法 https://saschool-blog.com/?p=2227

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