練習生原稿128「ドリブルスピード養成の重要」 Sugi Academy R6.4.2
時折、「スピードがなくても抜ける」「ドリブルにスピードは不要」みたいなことを謳う動画がある。全くのウソでもないが、スピードに変わる別要素が必要となるし、そもそもスピードアップの努力を無視した考え方自体に大きな問題がある。YouTubeなどは、「人集め・金儲け」を主目的にやってる人が少なくない。特殊な要素をクローズアップしがち、うっかり乗っかると酷い目に遭いやすいだろう。S.A.では当然、スピードアップの必要を強く訴える。「瞬間抜き」「緩急」などとはまた別のファクター。いや、その母体となっている技術と言うべきかなあ。
ドリブル自体が遅ければ、DEFは動きを見切りやすいし、実際に付いてくのも困難ではない。だが、速くなっただけで、動きに付いてくのがいっぱいいっぱいとなる。DEFの余裕を奪う最初の手段が「ドリブルスピード」なのである。言われてみれば当たり前のこと、しかし、そういう認識で練習に取り組んでる選手やコーチは、意外に少ないかも……。
「ドリブルスピードUP」に必要なことは何か?1つは「足の速さ(脚力の強さ)」、これは大きな比重を占める。だから短距離走をドリルせねばならない。体力テストの50m走は1つの指標となるが、厳密には20~30mをいかに速く走れるかの方が、コートの大きさを考えたとき、より実践的であろう。2つ目は、ボールコントロールだ。走りながらのドリブルをミスせず実施できる。ここでいうコントロールとは、直線的なドリブルのこと。大きく角度を変化させたりロールしたりではない。例えばコートの縦約28mをドリブルで進む。当然、突き出しのトラベリングやボールを上げすぎるWドリブルは禁止。ボールの高さは肩より上げてはならないし、持ち運んでWになるのもダメだ。みんなは、何回ドリブル突いてレイアップシュート決め切れるだろうか? S.A.の中上級生なら、ほぼ4回かな。上級者なら3~4回で行くかもしれない。リトル生(3・4年)でも、5~7回でいいのではないか!?「特殊な人間が」ではなく、練習さえ積めば多くの選手にとって可能なことなんだ。
育成年代のドリルとして、まず取り組むべきは「スピード」、徐々にテクニック要素の強いドリル、パワーを必要とするドリルへと移行していく。スピードだけで全てのDEFに勝てるわけじゃないし、あらゆる事態に対応できるわけでもない。だからこそ「テクニック」の意義があるのだが、どうも練習の順番や量をはき違える傾向が強いように思う。
スピード豊かなドリブルを、ミスせず突くために必要な要素(ファンダ)は何だろう?過去ブログでも紹介してるが、「ボールを前に突き出す(リードドリブル)」ことだ。
図1を見よう。ボールの左右位置は身体幅の外側。正面で突くと蹴飛ばしてしまう。図2が前への突き出し。黒線のように突いたら、緑線に比べ半分しか進まない。つまり、スピードは半分以下だってこと。ボールが離れてる間にダッシュする。足も速くなるぞ。
もちろん、チームへ入部したてでドリブル練習始めたばかりなら、コントロールなど無理。まずはもっと基礎的なファンダドリルが先である。最後に、幾つかあるドリブルスピード養成法から、S.A.でやってるリトル用ドリルを1つ紹介しよう。
右のようにカラーコーンを4つ並べる。距離はバレーコート幅9m。これを左回り・右回り・スラロームと、3種類実行する。もちろん何秒で往復できたか計時・記録する。3セット実行し(つまり9回計る)、毎週少なくも6ヶ月以上続けるんだ。ドリブルハンドは、左回りなら右手、右回りなら左手、スラロームでは進行方向の手で扱う。地道に続けてると、みるみるスピードアップするのが分かるだろう。中級以上でも、スピード不足が悩みなら試すといい。
動画に登場してるのは、いずれも小学3年生。まだ修正すべき所はあるが、かなりのスピードで突けているだろう。ボールの高さにも気を配っている。いくつか彼らのゲームを観たが、他チームの同学年、4.5年生相手に、臆せず立ち向かいバリバリ活躍していた。もちろん女子も同程度に出来るし、ゲームにおける活躍ぶりも顕著である。ちびっ子達、頑張れ。
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