私は、以前ブンコーチからちょっと聞いたけど、コーチの若かった頃のNBAって、凄く荒っぽかったんだって。ぶつかり合う音が聞こえそうなフィールドで闘う選手達。そんな情景を思い浮かべながら読んでみよう。
今回オリンピックで活躍が期待される渡邊選手、ラプターズで正式契約となるまで相当の努力をしたのだろう。フィジカルの強さが半端なく伸びた。むろん、スキル一つ一つも……。特に、DEFの粘り・賢さは、よく耳にするところだ。今回初めて明かすことがある。彼の母親は、久保田久美といって元全日本選手。シャンソン時代、私のチームの練習に来たことがある(同一人物か絶対的確信はないが、当時キャプテンだったし、本人確率95%以上。)。その際、小学生がレッグやビハインドをポンポン熟してるのを見て、目を丸くして驚いていた。同僚とともに……(本人は覚えてるかどうか知らないが)。彼女が私に向かって、「凄いですね」と言ったのを忘れない。メンバー3人は小柄ながら、図抜けてハンドリング良かったし、県内にその手のドリブルを紹介し始めたばかりだったので、シャンソンの選手といえど、目新しさはあったんだろうね。最近になって思う。当時彼女が感じた印象が「渡邊選手の子育て」に影響したかもしれないと。もちろん、これは私に都合の良い解釈、単なる想像に過ぎない。しかし、「もしそうだとしたら……」そんな風に思いを巡らすだけでも楽しいものだ。
練習生原稿74「ハードコンタクトを恐れず闘う」 Sugi Academy R3.5.15
1992年バルセロナオリンピックUSA代表。バスケ史上、最強と言われ続ける伝説のチームだ。今のNBAだって、十分すぎるほどのモンスターはいる。レブロン・カリー・デュラント・ハーディン・ウエストブルック・アービング・トンプソン・デイビスなどなど。だが、あの写真のメンバーは、さらに上の存在だと、私は思う。メディアが史上最強というからではなく、リアルタイムで試合を見ていた私自身の感想だ。しかもだ。幾多の理由であのメンバーに入らなかったが、実力が拮抗してるプレイヤーは他にもかなりいた。スクール生には幾度となく紹介しているデニス・ロッドマン。彼は得点することにはあまり執着がなく、OFFは目立たなかったが、その破壊的DEFとRebは誰もが認めており、強靱なレスラーという表現が当てはまる選手だった。「ハードコンタクトとは、ぶつかり合いのこと」ロッドマンの代名詞ともいえる。8年前来日した際の回顧録(昔を振り返る話)を元に、テーマに迫ってみよう。
インタビューの中で、当時トップを走っていた優勝候補マイアミ・ヒートの強さについて聞かれた。「あなたが所属し、3連覇を成し遂げたときのシカゴ・ブルズより強いのか?」と。すかさず彼は一言。「はあ?話にならない」「あのころの俺たちは、もっと強く、もっとタフなチームと毎晩のように戦ってきた。比べるまでもないだろう?ファウルの笛は、今のようには簡単に鳴らないタフな時代。今のルールなら、マイケル(マイケル・ジョーダンのこと)は毎試合50点取るだろう。俺も1試合、最低25本はリバウンドを取るね」。インタビューアーの質問をこのように切り返したのである。
当時(1980年頃)を思い起こすと、初めて目にするNBAに新鮮な驚きの連続だった。スキル・パワー・スピード・変則的プレイ・飽くなき執着心・固執する勝利欲、何もかもが異次元といえた。そんな中で理解できないことが1つあった。それが前述の「ファウルの笛」である。「なんで今のがファウルじゃないの?」「どう見たってファウルだろ」そんな場面が目白押しなのだ。私の目が悪いんじゃない。少なくも、国際ルールの尺度では到底理解できない激しさだったのである。現在のNBAだって激しいプレイ、きわどいプレイはいっぱいあるが、当時を知る私の目には、綺麗な試合展開と映るゲームがほとんどだ。だからこそ、ロッドマンいわく、「今のルールなら、ジョーダンは毎試合50点取る」なのだ。得点だけじゃない、パスだって入れにくいし、Reb1本取るにも死に物狂いだ。目につきにくいところで、ユニフォームを引っ張り、肘打ちを当てる。そんなダーティーさはもちろん、「正々堂々殴り合って勝つ」といって言いすぎじゃないほど、身体をはった試合が普通だったのである。 ハンドチェッキング、バスケ革命 https://saschool-blog.com/?p=3813
DEF力がないからファウルでカバーすると、勘違いしないでほしい。2000年代に活躍し殿堂入りしたアイバーソン。絶頂期の彼が、40歳を越え引退目前となったジョーダンとゲーム中に1:1をした。「オレは最高のパフォーマンスをしたんだ」「それでもブロックされるかと冷やっとしたよ」いくらジョーダンとはいえ、年齢的にパフォーマンスはがた落ち。かたや、得点王にもなった現役スーパースター、勝負になりそうもない。そのアイバーソンが冷や汗かいたのだ。いかにジョーダンのDEFが凄いか想像できるだろう。
1980.90年代は、そんなモンスターがひしめき、「ハードコンタクトが当たり前」の世界だったのだ。バスケットボールって格闘技?思わず考えてしまう時代。ファウルの笛が厳しくなれば、DEFは困難になりOFF有利となろう。いろんな記録更新もされやすくなる。その善悪をここで論議するつもりはない。皆に伝えたいのは、そういう歴史があったこと。そして、バスケの根底には、依然、「激しいボディコンタクト」という概念が脈打っている事実。
年齢に合わせた適切なプレイをすべきだ。デタラメに頑張れと言ってはいない。だが、ハードコンタクトから逃げていては、一流にはなれない。適切なドリルで、パワープレイを学ぼう。そして、他に後れを取らない熱い闘志を身につけよう。
最後に、もう少しロッドマンの言葉を載せておく。
今のNBAと最も違っていたのはフィジカルだ。あの頃は、バスケットの本質がより問われていた時代。相手との身体のぶつかり合いの中で、闘争心も強くなっていった。押す、ぶつかる、その痛み・苦しさが俺の仕事だった。ヘッドコーチに、「リバウンドを取ってこい」と言われたら、相手が大きかろうが強かろうが、自分の仕事をこなすだけさ。
こうして、「狂気のリバウンド王」は誕生した。 https://saschool-blog.com/?p=1996
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