今回は諏訪市の紹介。世界的に貴重な工芸品、中山道と甲州道が合流する下諏訪宿での町並み・買い物・食べ歩き、間欠泉が吹き上がる諏訪湖畔、竜宮丸や白鳥遊覧船に湖上を走るバス、御柱祭で有名な諏訪大社など見所満載。今夏、中部横断道が開通したので、静岡からなら2時間くらい、十分現地滞在時間を取れるわよ。富士見高原・清里高原のように涼しくはないと思うけど、湖畔でのんびりすれば涼しさ満喫だわね。日帰り旅の魅力は、費用が安いこと。往復交通費はガソリン代含め、1万円ちょっとくらいかなあ。
ブンコーチ、諏訪の町は何度も通過したことあるらしいけど、ゆっくり滞在してないんだって。「是非、行ってみたいらしいね」それにしても、中部横断道って便利だな。
アールヌーボーの一級品 R3.7. LINE新着配信
諏訪湖畔に佇む北澤美術館は、エミール・ガレ、ドーム兄弟、ルネ・ラリック等のガラス工芸と現代日本画を展示。アールヌーボーの秀作が目白押し。ずっと見たかった「フランスの薔薇」。昨年夏、心願成就なるかと思いきや、コロナ禍に邪魔されました。「フランスの薔薇」といわれる作品は、1点だけでなくシリーズで存在しますが、左下の作品は多分、世界で2点のみしかない貴重なものです。照明の当たり方、見る角度により青系ピンク系と、艶やかな変化が見られます。エミール・ガレは装飾工芸家として、ガラス製品だけでなく、陶器、家具等にも多くの作品を残しているのです。
「お薦め日帰り旅」に書いた清里高原にも北澤美術館はあり、こちらへは3回ほど行ってます。フランスの薔薇はないですが、秀作がずらり。十分な見応えで、ガラス製品ってこんなにも美しいものかと、認識が変わるでしょう。
ところで上の写真、昨夏、見に行けるかもということで、改めてまじまじ見ました。30代には、美しさに目を奪われているだけでした。花に虫でも止まってるのかなと……。ところが、薔薇が枯れてるみたいです。花のつぼみは固く閉じてるんです。「なぜ、もっと華やかなモチーフじゃないの?」と、恥ずかしながら、この歳になって初めて疑問を感じました。
これから述べるのは真実かわかりません。あくまで私の推測です。ガレの生きた19世紀後半は、「普仏戦争(プロシアとフランス)」があり、負けたフランスは、アルザス・ロレーヌ地方の多くを奪われたのです。ガレはロレーヌの生まれ、義勇軍(志願兵の軍)として戦争に参加するほどの愛国者だったということは、頭の片隅にありました。その後、アールヌーボー芸術が花開き、誕生したのが「フランスの薔薇」。この作品には、祖国を奪われた悲しみ、祖国への慈しみ、そういったものが表現されているんじゃないでしょうか?美術館のWebにも、何となくそれっぽいニュアンスの一文が……。こんな想像を巡らすのも、歴史への知識を広げる楽しみとなります。
豆知識 「アールヌーボーとは何?」
アール・ヌーヴォーは、1890年から1910年頃にかけてヨーロッパ全体で人気を博した国際的な芸術運動。特に家具、ファッション、建築、工芸品、グラフィックデザインなど装飾芸術として発展しました。国によって呼び方は異なるのですが、花や植物の自然に見られる形状・構造、および緩やかな曲線に影響を受けているのが共通する表現方法で、当時の芸術家たちは自然環境との調和を試みようとしたそうです。「芸術はライフスタイル」という哲学の元、当時の多くの裕福なヨーロッパ人は、アール・ヌーヴォー風の家具や家を購入し、銀製品、織物、食器、シガレットケースなどありとあらゆるアール・ヌーヴォー様式の生活品をそろえたらしいです。19世紀初頭の産業革命により技術革新は進んだものの、安価で粗悪な大量生産品が出回ったため、その反動で芸術性や独自性の高いモノを求める人が増えたことが始まりと言われます。
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