練習生原稿30「ジャンプシュートの重要性と2つの発展方向」 Sugi Academy R1.12.5
原稿65「シュートの三大カテゴリー」(ブログ 初~中上級が覚えるべきシュート)の中で記述したジャンプシュートの打ち方、有利さについて、かなり細かく解説したぞ。ドリルメニューまでは書いてないが、フォーム等は十分わかるだろう。とりわけ、ブロックショットに対する優位性は、しっかり覚え頭に焼き付けよう。 https://saschool-blog.com/?p=971
*欲張って早くからやっても無理なので、練習は、5年生(早くて4年)くらいから始めればいい。まずはゴール下1~1,5mの距離でね。ただし、低学年の間にクローズアップシュートを練習しとこう。ジャンプシュート覚えるのに役立つぞ。
S.Aで用意してあるシュートドリルは、100種類くらい。しかし、シュートを使用形態(シュートの使い方)で分けると大きく3種類となる。ランニングシュート系・ジャンプシュート系・コンボシュート系と、私は分類している。 *この後、個々のシュート名はわからなくてもいいよ。
ランニングシュート系……走りながら行うシュート全般。ドリブルシュート・ランニングシュート(走ってパスを受けそのままシュート)・変則ステップ(ユーロ、 パーカー、エクスプロージョンなど)によるレイアップ 等
ジャンプシュート系……パスミートやドリブルストップから上方向に両足でジャンプし、最高点でボールをリリースする。通常のジャンプシュート、ステップバックジャンパー、ハーディンスリー、フェードアウェイ 等
コンボシュート系……フェイクやステップを組み合わせて行う、ゴール付近で使用するシュート全般。上2つのシュート系を合わせたような系統。ジャンプリバースターン・ステップイン・ステップアウトオーバーレイ・フック・コービーピボット・ポンプフェイク等によるシュート
たくさん使いこなせるほど、試合のあらゆる場面で活用可能なので当然有利だ。少しずつ練習会で紹介してるが、今日は「ジャンプシュート」に関し考察を深めてみよう。
まずは、ジャンプシュートの打ち方。一般に正しいとされているフォームを紹介しよう。ボールのリリース方法は、ボースハンド(チェストパスのような両手打ち)とワンハンドがある。女子に多いのがボースハンド、男子に多いのがワンハンドである。ここでは、将来的な発展を考慮し、ワンハンドのジャンプシュートで解説する。
1,左右の足は、シュートハンド側を少し前に出して立つ。ほとんどのコーチは、そう教える。(それ自体は間違いではないが)私は、左右の足先を揃えて立てと、常に教えている *理由は最後に
2,膝を曲げて深く沈みながら、ボールの位置も下げていく。(この動作をディップという)
3,膝を伸ばしながらボールも上に移動、力強くジャンプする。この時、腕を上に振り上げる力を、高く跳ぶために利用する。
4,ボールを頭上(最低でも、おでこの斜め上)にセットし、上昇に合わせ腕を伸ばしていく。ジャンプ最高点に着いたら、そこでボールをリリースする。
文にすると長ったらしいのだが、2が始まって4が完了するまで、多分2秒程度であろう。しかも、上述したケースは、ボールを持って立っている状態からのシュートである。へたくそな選手はできないが、ジャンプシュートの多くは、ドリブルストップやパスミート直後に行われる。つまり、ボールをホールドした瞬間には、すでにある程度膝が曲がって、沈み込んでいるのが普通だ。となれば、後は上に伸びるだけ。この動作に必要な時間は、先ほどの半分、1秒ほどであろう。 *これも厳密ではない。もうわずか早いかも。
左上の連続写真は、NBA史上最高のシューターといわれるステフィン・カリーのシュートである。2のディップ動作はすでに終えており、3・4動作のみが示されている。左手はボール保持を安定させるために添えられているだけ、あくまでシュートは右手のワンハンドだ。彼は、DEFにより、シュートを使い分ける。ここではディップ型のシュートを打っている。
さて、話の続きに入ろう。カリーの身長は、190cm。腕の長さまではわからないが、今、同じ身長・同じリーチ・同じジャンプ力のDEFが、カリーのシュートをブロックしようと狙っているとしよう。伸びあがりを始めてから1秒ほどで、ボールがリリースされると上述した。DEFは1,5mの距離にいたとすると、すぐに手の届くところまで距離を詰め、すかさずジャンプし、思い切り手を伸ばしてボールを触りに行かねばならない。だが、この一連の動作は、シューターと同じスピードではダメだ。4枚目の写真のように、1秒後にはボールは空高く舞っている。もう届かない。だから、左下図のようなタイミングが、ブロックには必要なのだ。
このように考えてみれば、「ブロックショットの困難さ」がよくわかる。そんな簡単にブロックなんかできないのさ。「え~、ほんとかなあ」「私、しょっちゅうブロックされるんだけど」という人がいるかもしれない。確かに、小中学生のゲームではブロックショットの場面をよく見かける。でも、それにはちゃんとした理由がある。3つね。説明しよう。
理由① シューターよりDEFの方がかなり大きくて、特にDEFに近づきすぎたとき。シューター140cm、DEF165cmなら、やっぱブロックされやすいよ。
理由② 小学生や女子(中学生も)のシュートって、ボースハンド(チェスト)が多いよね。この時ボールはどこにセットされている? 胸の前あたりだろ。まあ、よくて口の前ぐらいの高さだ。つまり、ボールの位置が低すぎるんだ。だから、DEFがちょっと手を伸ばせば、みんな引っかかってしまうというわけだ。DEFはジャンプする必要もなくブロックできる。 *OFFがジャンプしなくても、「胸の前」を「頭上」に直すだけでカットされにくくなる
理由③ みんな多くは、シュートするときジャンプしないよね。だから当然、ボールは立ったままの位置より高くにはならない。
これで、ジャンプシュートの有利さが理解出来ただろう。まず、ジャンプすることで、5~10cmボールの位置が高くなる。(もっと跳べれば、さらに上がる)ジャンプシュート最大のメリットは、何かというと、「ボールのセット位置が高いこと」である。カリーの写真3枚目を見てほしい。ジャンプシュートは頭上、ボースハンドは胸の前。これだけで、50cmくらいの差はある。おまけに跳び上がるのだ。腕の長さにもよるが、「一気に50cm以上背が伸びた」ということに等しい。ジャンプシュートがブロックされにくい理由は上述どおりだし、ドリブルやパスからもほとんど間を空けず、一瞬でシュートできる。こんなすごい武器を身につけねばもったいないだろう。
ただ問題点もある。それは、ジャンプシュートが技能的に難しいということ。跳ぶこと・伸び上がりとシュートセットのタイミング・リリースの仕方・ボールを飛ばす距離・コントロール、全てが揃って初めてシュートが完成する。さらに言えば、形の完成だけではダメ。シュート率が上がらねば、何の意味もない。通常、1~2ヶ月で出来るようなスキルではないと知ろう。ある程度の成果を出すには、少なくも半年は必要かなあ。
最近では、指導の認識も変わりつつあり、女子にもジャンプシュートを教える人が増えてきた。日本人女子がいつ頃から始めたか定かではないが、私の若い頃には余り見かけなかったね。現在でも、育成低年代の選手でジャンプシュートをやる人は、まだ少なめだろう。だが、「難しいからやらない」ではなく、「どうすれば出来るか」に頭を切り換えるべきだ。筋力的な問題もあり、年齢差や男女差が出るのは仕方ない。でも、ペイント付近でのシュートなら、小学生でも中学女子でも十分可能だ。S.A.では、かなり重要な案件(話題にすべきこと)と考えている。 Jump Shootのドリルとプルアップ https://saschool-blog.com/?p=4204
2つの発展方向 やや専門的だが簡潔に説明。ジュニア・ハイ以上は必ず読むように
ジャンプシュートはその性格上、高く跳ぶ方がいい。だが、超難しい。かなり跳んでるようでも、多分、30~40cm。背がでかくて、高く跳べるなら、ディップ(前述参照)して打つのが王道だ。しかし、私を含む多くのチビや、多少でかくても世界標準以下の選手では、ビッグマンのブロックは大問題である。そこで、私が考案したシュート法は、「高さより速さ」を優先させる打ち方。私は160cmだが、若かりしころ170cm以上のDEFにもほとんどブロックされなかった。ただ、このシュート法(クイックストップジャンパー)簡単ではない。通常のやり方よりはるかに大変だ。その時必要な条件の一つが、前述した「つま先を揃えて構える」である。 *これ以上の説明は、割愛する(はぶく)。難解なので……
つま先がずれた方が、筋肉の構造上、肩が動きやすい。それがシュート率に影響するという考え方は、多くの人に支持されているだろうね。上のカリーの写真見てもわかる。私がそれを知らないわけじゃない。だから、普通のシュートでいいという選手は、無理することもない。でも、クイックストップジャンパーの利点はもちろん、スクエアストップ自体の長所は他にもいっぱいあるんだ。総合的に見て、S.A.ではそれを推奨・指導している。いつの日か、Spot解説するときが来るだろう。
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