練習生原稿82「スイングとスライド、クローズアウト 」 Sugi Academy R4.1.5
DEFステップの使い分けに関しては、原稿71(ブログ3.6.22配信 https://saschool-blog.com/?p=1517)の中で詳説した。特に、スライドとクロスの特質に触れ、使い分けるべき注意点を述べている。93ビューという読み数(執筆時)はまずまずだと思うが、本音言えばまだ足りない。もっと多く読んで、真の意味を掴んでほしい。そもそも、DEFを鍛えずして対人技能としてのOFFの上達はない。本気で強くなりたい人は、その認識を持たねばならない。本日の原稿では、「スイング」を中心に話したい。練習生にとっては、毎回反復練習してるおなじみの技術だ。これ、相当重要なスキル。1:1で抜かれるパターンは大きく3分類。「単純にスピードでぶち抜かれる」「フェイクにだまされ動きが遅れる」「切返しの速さについて行き切れない」だ。どれもトレーニングで克服せねばならない。その3つ目に関わるのが、「スイングステップ」である。
ドリブラーが右方向へ(DEFから見ると左)抜きに来た。DEFは当然、左にスライドしてドリブルを止めに行く。その瞬間、ドリブラーはボールを逆側に移動、左を抜きに行った。そこで問題になるのが、DEFの対応の早さ。鍛えられてないDEFは、ボールが移動し終わりOFFが左へ1歩踏み出した頃、やっと右足を引いて右方向へ追いかけ始める。だが、それではもう完全に出遅れ、すでに1:1の勝敗は決まっている。この一連の勝負を整理してみよう。
1,OFFが右方向へドリブルを仕掛ける。
2,DEFが気づいて、素早く左にスライドする。
3,OFFは右を抜けないと考え、左にドリブルチェンジ。そのまま左を抜きに行く。
4,DEFはOFFのドリブルチェンジに気づく。そして、右足を後ろに下げ始める。
5,DEFはOFFを追いかけて、右方向にスライドステップを開始する。
5つもの行程があるが、時間にすれば1秒かからないだろう。日常生活では、取るに足らない大差なき時間なのだが、バスケのプレイでは0.1秒で勝負が分かれる。いや、私は生徒らに、0.01秒を意識せよと言っている。今話題にしたい「スイングステップ」は、4・5番の所だ。ドリブル方向が変わることに、「頭で気づき」「右へのターンを実行し」「スライドで追い始める」この3段階をいかに速くできるのか?それがDEFステップの熟練度である。
OFFの動作3に、0.4秒かかったとしよう。それに対応するDEFが4・5の動作に、0.5秒かかったなら、もうOFFの勝ちなのだ。神経回路・瞬発力を含め、このスイングステップ動作のレベルをあげる事が不可欠。0.3秒で完了すればDEFが勝つ。 *さらにドリブルチェンジのスピードを上げて0.2秒にし、DEFを破壊しようというのが、S.A.の「瞬間抜き理論」 でも、口で言うはたやすいが、そう簡単なものじゃない。「なぜかって?」3.9.19配信ブログで書いたように、先を取る優位がOFFにはあるからだ。https://saschool-blog.com/?p=1883 そういう究極部分まで詰めねば、バスケというスポーツの真の凄みや醍醐味(大きなゴミじゃないよ、本当の面白さ)はわからない。具体的練習法を述べよう。ここからは動画を見て確認を。(動画撮影はR4.2.20、モデルはほとんど小学6年。最後のクローズアウトのみ中2)
OFFがボールを持ち、DEF横を1歩押し込む。DEFがコースを止めに来た瞬間、ボールを持ち替え逆側に小さくキック。DEFは、そこですかさずスイングステップを踏む。足を入れ替える際には低く、高いと遅くなる。「細かく素早く」、足がもつれずキュッキュッと動けるまで、数回連続で訓練する。
OFFは通常、ボールのある側にドリブルを進めるので、DEFはそれと同じ側の足を下げて守る。足が逆になってると、1歩目の出だしが完全に遅れる。だから、ボールの左右移動に伴って、素早くスイングする練習が必要だ。ここで、クロスステップを使うなんてのは言語道断、R3.6.22ブログを参照。
スイングを2回連続すると、OFFとの距離が空き、プレッシャーをかけづらい。それでクローズするのだが、その際の足の出し方が重要。足の前後が入れ替わらないように詰めること。
次は実際のドリブル対応練習。OFFはいろんなドリブルチェンジを使い、DEFの左右を攻める。長い距離は行かない。2~3m進んだらリトリート(戻る)してくる。OFFがドリブルで元に戻る時、DEFはフロントハーキーステップを使ってクローズアウトする。この辺りのやり方については、実際を見ないと理解が困難だが、動画でかなりカバーできよう。OFFのドリブルチェンジに対し、いかに早くスイングし鋭いスライドで追えるかが大事なので、そこをわかってほしい。
今回紹介したようなやり方で、スイングステップ練習の効果は十分得られるが、スイングターンする際、僅かにホップし両足を同時に入れ替えるツイストステップもある。ホップすることで、筋収縮と飛び出し速度を加速する。難点は、ホップが高いと着地まで僅かに時間が遅れること。かなり神経質な部分であり、小中生中心のスクール練習では、そこまで指導していない。ファンダこそが最も優先される。さらに上達すればやる可能性ありだが、これまたかなりハイレベルの話題なので、多くの方には不要だろう。飛ばし読みでいいと思う。
クローズアウトは、本来、ウイークサイドDEFが自分のマークマンとの距離を詰めて、ワンアームでDEFするような時、使用する技術だ。ある程度の距離をフロントステップで走り(通常、その距離全体の3分の2)、OFFに近づいた位置からハーキーステップで詰め寄る(残り3分の1)というもの。OFFとの距離を詰めるには速く走るのがいいが、目の前まで走っちゃうと、OFFのドライブに対応できない。電車のすれ違いのようになってしまう。だから、最後部分をハーキーで細かく動き、左右への移動をやりやすくする。他にも幾つか約束はあるが、最も大事なのは、「細かく踏むことで抜かれにくくなる」という原理だ。スイングドリルの時のクローズアウトは、距離が短いため、全部ハーキーステップで細かく詰める。足の前後が入れ替わるように出ると、ドライブの餌食になるので要注意だぞ。
コメント