バスケ配信  あれ?バスケじゃなく鉄棒?

練習生原稿57「バスケと鉄棒、スキルの共通点」   R2.12.12 LINE新着配信 

タイトル読んでもだよね。鉄棒とは器械運動でやる鉄棒のこと、「バスケと何の関係があるの」と、怪訝けげんそうな皆さんの表情が浮かぶ。すぐには理解できないだろうが、まあ、聞いてほしい。全くの偶然だが、練習会が終わり帰宅直前のこと。体育館前にあるフェンスを使って、運動能力の高いパパが、鉄棒のまねごとをしていた。きっかけが何かは知らない。でも、ちょっと格好いい技だ。当然、男どもはすぐ真似したがる。

どんな技なのか説明しよう。(フェンスではなく、ちゃんとした鉄棒で説明)その名も「飛び越し降り」。鉄棒に乗った普通の姿勢から、脚を前後に軽く振り、後ろへの勢いで体を浮かす(下図の1~3)。最後は、鉄棒から前に身を乗り出すようにし、片手を離して思い切り飛び越える。(図4 実際はこんなに高くは上がらない。図の例では右手を離す)

パッと見に格好いいけど、鉄棒に引っかかって落ちそう、「恐~」 となる。案の定、boys は試したくてうずうずしてるのだが、怖くて決断が出来ない。コアラのようになっていた。「何だ、こんなの出来ないの?」と冷やかす私。「えっ、コーチできるの」と、ある少年。何年ぶりかは思い出せないが、大丈夫だろうと思い、やって見せた。「おおっ」という声。ケガせず無事着陸。この技のポイントは、重心の前への移動。そして恐怖感の払拭ふっしょく(取り払うこと)ものすごく筋力が必要という技ではない。だから、筋力がた落ちの自分でも出来るだろうと判断した。バスケの練習会では、「重心の移動」がいかに大事か、何度も話している。重心移動は私の得意技なのだ。


そこで、ごく短時間のレクチャー。boys に、「まず、左足で鉄棒を踏んづけて、バーの上に乗るようにしてみな」と指示。すぐさま実行する少年達。「次は左手を離して、踏み越えてごらん」(彼らがやったのは、図とは反対側に飛び越す形)2人ともすぐ成功。「もう1回」また「もう1回」と続けるboys 。「今度はその動作を少しスピードアップしてみな」とさりげなく言う私。数回繰り返す内に、みるみるそれらしい形が出来てきた。見ていた保護者からは「えっ、えっ、えっ」という反応。ビックリした様子があらわになっている。最終的に、完全な飛び越しまではやらなかった。マットも敷いてないし、何より時間がない。こういう状況で無理しすぎるとケガをする。だから、今日のレクチャーはそこで終了となった。

これだけでは、鉄棒運動の話になってしまう。大事なのはここからだ。大前提として理解すべきは、boys の身体能力。それが高い。運動の苦手な子は、「まず、左足で鉄棒を踏んづけて、バーの上に乗るようにしてみな」という指示を実行できない。それだけのことでビクビクしてしまう。バーを握る支持力が不足している、心理的恐怖感などが理由である。バスケ流に言えば、「バーを踏んづけて上に乗る」というファンダが身についてないってことだ。彼らは、もうすでにそのラインをクリアしていた。では、あと何が不足していたのか? 1つは、飛び越すためには前に乗り出さねば無理(つまり重心移動)という原理の理解。それを教えねばならない。そして、2つ目は「恐怖感をどうやって克服するか?」という具体的な手段である。

昔、体育の授業で鉄棒を何回もやった。だいたい、集団の9割は鉄棒が苦手で嫌いだ。やる前から嫌そうな雰囲気がただよってくる。でも、鉄棒を使っていろんな遊び技をやると、その内、進んで取り組む子が増える。出来るようになることが楽しいのだ。これまた、バスケ流に表現するなら、遊び技の練習を通じて、本格的技をやるためのファンダが身につくのである。数時間の授業を終えると、多くの子が「鉄棒ちょっぴり好きになりました」と感想をくれる。

運動が出来るようになるには、「どう教え、どう学ぶか」が間違いなく重要だ。バスケ・鉄棒・短距離走・水泳・バレーボールなど、いろんな形態のスポーツがある。全く違うもののようでいて実はそうではない。指導者からいえば「教え方をどうアプローチするか」、生徒からいえば「何に気をつけ、どのように学ぶか」が極めつけ大切なのだ。

プレイする上で精神的タフさは必要だし、「根性~」というのも嫌いではない。でも、それだけじゃあダメなんだ。科学的分析方法を持つことが成功への近道さ。それこそが、S.A.のポリシーでもあるぞ。

コメント

  1. まいまい より:

    お陰様で飛び越える勇気と
    方法が分かったようで
    暇さえあれば
    飛び越す練習してます笑

  2. bunsan bunsan より:

    それは良かったです。1つ1つの成功体験が、子供を成長させますね。

  3. うな重 より:

    コーチがサッとできたことと、子どもたちが教えてもらううちに上手になっていくのが驚きでした。

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