デイリー配信  灼熱化or氷河期!太陽光・風力発電の急成長と危機

再生可能エネルギーへの期待   R7.8.19 LINE新着配信

「再生可能エネルギーの進歩」が語られ、私たちの耳に入ってきます。取り分け太陽光発電は家庭で実施してる件数も多く、馴染なじみのあるものですよね。「温暖化」どころか「灼熱化しゃくねつか」と呼びたくなる原因のCO2(二酸化炭素)、それを減らす効果があるとなれば無関心ではいられません。再生可能エネルギーが世界的に急成長しているのは間違いないです。しかし、化石燃料かせきねんりょう(石炭・石油・天然ガス)の消費に与える影響を過大評価してるのも事実でしょう。一気にカーボンニュートラル(CO2・メタン・フロンなど温室効果ガスの排出量と吸収量を均衡きんこうさせ実質0を目指す)が実現するなんてのは、楽観的な見方なのだろうと。まだまだ、再生可能エネルギーは化石燃料に取って代わってはいないのです。

2023年の世界エネルギー消費量は、合計 580エクサジュール(EJ)でした。

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ジュールって何ですか??

ブンコーチ
ブンコーチ

エネルギー量の単位だよ。わかりやすく電気ストーブを例に熱の量で話そう。たとえば400Wのストーブを100秒使うと、40000ジュールの熱が発生する。1エクサジュール(EJ)は10の18乗ジュールのこと。つまり1,000,000,000,000,000,000。400Wのストーブ1本を2,5兆秒(7,9万年以上)つけたことになるね。800Wの電子レンジなら4万年くらい使いっぱなしかな。もう少し分かりやすくたとえてみようかね。日本中の全家庭が一斉に800Wのレンジを使うとする。とんでもない熱が出るよな。それを約7時間連続使用するんだ、その熱量が1EJさ。私の計算が狂ってなければの話だけど……。ストーブもレンジもそんな長持ちしない、とっくに爆発してそう。全世界では、その580倍のエネルギー使ったというんだから、「一体どんだけ~」となるよね。 *例えば10kgの荷物を持ち上げ、2mの高さの棚に置いた。ちょっぴり仕事したことになるね。こういうエネルギーもジュールで表すことができるぞ。

話を元に戻します。エネルギー全消費量の内、再生可能エネルギーは29.97EJで、割合は5.2%にとどまってます。2024年には32.74EJにまで増加、それでも全体に占める割合は5.5%。世界のエネルギー需要増加分は、1年で11.9EJその7割ほどを、依然化石燃料がまかなっているんですね。再生可能エネルギーの消費量が記録的に伸びたけれど、二酸化炭素排出量が2024年も増え続けたのは、このためだったのです。

M
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「世界のエネルギー増加」って、何が増えてるんですかねえ?もしかして、日本中の各家庭がエアコンの温度設定を1℃上げるだけで、かなりエネルギー減らせるのかも……。ブンコーチのやせ我慢がまん(エアコン使用を減らす)も関係あるのかしら?? 子どもらのスマホ依存・大人含めたゲームのやり過ぎ・毎日のようにする充電、そんなことだって、一体どれほどの電気エネルギーを消費してるのかって、つい考えてしまうわ。

ブンコーチ
ブンコーチ

時代の流れの中、後戻りできないことは多い。でも何も関心を持たず少しの努力もしないってのは、間違ってると思うなあ。先日、SF映画「デイ アフター トゥモロウ」を見た、3回目だ。突然、気候変動による巨大災厄さいやくがこないとも言えない。事実40℃超えなんて異常事態を、頻繁ひんぱんに見てるじゃないか。日本最高気温41.8℃が出たのも、今月のことだ。線状降水帯なんていう完全には未解明の現象だってあるし……。

学者 Bunji
学者 Bunji

気象学の立場で言わせてもらいます。世界や日本で、歴史的な大寒波や大雪が起きていることから、近い将来温暖化ではなく寒冷化になるかもという意見です。温暖化の影響で雪が減ると考えがちですが、地域によっては増えることもあるんです。

温暖化により海面水温が上昇することで、蒸発する水分量が多くなります。気温が上昇した大気は、どんどん水蒸気を取り込み極めつけ湿度の高い状態を生みます。この存分に湿った大気が範囲を広げ、北極圏近くにある強い寒気団に出合うとどうなりますかねえ?豊富にある水蒸気は一気に冷やされ大雪や寒波をもたらすでしょう。そして今度は、大雪をもたらす寒気団がグングン成長、まるで陸地で発生した超巨大な寒冷ハリケーンみたくなるのかも(本物のハリケーンは熱帯の海で発生する)。極地の解氷による淡水の増加は、 海の塩分濃度を下げ海流の流れを変える可能性は否定できません。皆さんご存じでしょうが、海流は気候を左右する大きな要素ですよ。まるで「デイ アフター トゥモロウ」に描かれた世界のように。

このように考えると、地球温暖化が寒波や大雪の原因となり、「氷河期を招く」という可能性も理解できるでしょう。家が丸ごと凍りつき、何もかも氷に閉ざされる世界。そもそも地球温暖化とは、地球の気温上昇だけじゃない。平均気温の上昇で予期せぬ異常気象が増え、大きくなることを指しているんです

明るい話題としては、太陽光発電の急成長があります。太陽光発電量は2024年、世界全体で前年比27.5%増加し7.7EJという新記録を達成したようです。太陽光発電量は過去10年間にわたり年平均25.8%のペースで伸びており、これは主要なエネルギー源の中で最速。
非OECD(経済協力開発機構)諸国は昨年、全世界の太陽光発電の57%を占めたそうです。中国だけで3.0EJを発電し、世界全体の4割近くに上り、インドの太陽光発電量は2014年にはわずか0.02EJだったが、2024年には0.5EJと25倍に拡大。背景には、政府が支援する太陽光パネルの屋上設置計画と送電網の拡張があるのです。ただ、化石燃料への依存度は相変わらず高いみたいですが……。

風力発電量も2024年に過去最高を記録し、世界全体で9.0EJに達しました。風力発電の過去10年間成長率は、太陽光発電の数字に比べると見劣りしますが、絶対的な発電量では、風力は依然として太陽光を上回っており、中国の2024年の風力発電量3.6EJは群を抜いてます。また欧州は、特に北海の洋上風力発電への長年の投資により、風力が太陽光を常に上回る世界で唯一の地域となっています。風エネルギーを集めるのに好適な場所を確保するには、設備投資が思いのほか多額になりそうですね。

古参こさん(古くから)の水力発電は、依然、世界の再生可能エネルギーの大部分を占め、2024年には約16.0EJに達しました。でも、水力発電には地理的条件の制約や環境問題への懸念けねんがあり、過去10年間の成長率は年平均1.4%と低迷。水資源の豊富なノルウェー、スウェーデン、ブラジル、カナダなどの国々では、水力発電がエネルギー需要全体の1割以上をまかなっています。

非OECD諸国は、太陽光発電と風力発電の成長をけん引していると言って良いでしょう。先進国以上に主導的な役割をになっているんです。再生可能エネルギーは、世界の多くの地域で競争力のある新たな電力源と考えられてます。もはや化石燃料の隙間すきまを補う程度の存在ではないのです。しかるに、再生可能エネルギーへの転換は、世界的な電力需要の増加に追いついていない、現在も化石燃料が世界の電力を支え続けています。一方で、再生可能エネルギーにかかる費用が下がり続けていることやバイオマス研究などの技術革新は朗報ろうほう(明るい話題)です。単なる経済的利益の対象として見るんではなく、「灼熱化地獄」をなくす切り札として、全世界が歩調を合わせるべき時です。今後、多くの優秀な若い知恵を結集し、全世界一丸となり取り組むべき大問題、それが気候変動なのです。まずは一人一人の意識化から。政府や企業の取り組みへ強い影響を及ぼすことになります。

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