「学校給食を考える」 R5.10.13 LINE新着配信
全国の給食調理業務を請けていた「ホーユー」が、夏休み明けに突然給食の提供を停止。学校関係者や保護者から怒り・不安の声が上がりました。TVニュースで見た方も多いでしょう。帝国データバンクによれば、ホーユーは、同業者との競合による受注価格の引き下げ、コロナ禍で学校や官公庁などの食堂休止、食材費・人件費の高止まりなどが原因で収益が圧迫、今回の事態に陥ったといいます。負債は、2022年11月期末時点で約16億7000万円。
ホーユーは給食調理業務を全国展開していたため、停止の影響が極度に広がったが、地域の給食調理委託業者が事業停止したり、破綻するケースは珍しくないようですね。かつて、多くの自治体は調理員を直接雇い、給食を学校で調理して提供する「直営自校調理方式」を採用してきました。ところが、政府の方針もあり、2000年代に学校給食調理の民営委託化が急速に進んだんです。それ自体はどちらでも良いように思いますが、今の問題は、学校給食の調理委託が、食材の高騰と相まって、極端に質素な給食内容となっていることです。私は現場にいないので、静岡県・市の現状がどうなのかなどわかりませんけど……。
学校給食の食材費は保護者が負担することと、学校給食法によって定められてます。母達はよくわかるでしょうが、食材・食品の値上がり半端ないですよねえ。だから、以前どおりの給食費では、買えるものがかなり限定的です。いいものを食べさせたいが、上げづらいんです。保護者負担が増えるので。さらに、生活保護世帯に扶助として給食費が支給される場合、自治体の負担が増えるため自治体も値上げしたくない。すると、給食費を上げたいのは献立をつくる栄養士さんだけとなります。物価高騰の折、献立の工夫も限界でしょう。
これまでも食材高騰の影響で、給食の内容が極端に質素となることがたびたび起こってきたそうです。2019年、食材価格の高騰を理由に副食(おかず)を見直した名古屋市の給食に対して「刑務所の食事よりひどくなってないか」「戦中戦後じゃあるまいし…次代を担う子供たちに給食の楽しみも与えてやれないのが今の日本なのか」などと、SNSで炎上したんですって。その発端は、「切干大根など急増…児童『肉を食べたい』食材高騰で質素に」というTV報道番組。番組の中で10年前のメニューと比較すると、年6回あったヒレカツが1回に、6回あったエビフライはゼロに。デザートは年83回から41回に半減。一方で、単価の安い切り干し大根は5回から14回に、高野豆腐は2回から17回に急増していたといいます。業者破綻の問題も含め、官民一体で考えるべき問題がここにもあります。
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