デイリー配信  コロナに透ける 過去・現在・未来

人類史では、人の密集した都市文明が異常   R2.5.10 ライン配信済み

自然人類学、行動生態学を専門とし、エール大学人類学部客員准教授、早稲田大学教授などを経て、現在、総合研究大学院大学学長という肩書きを持つ長谷川さんが言います
1万年ぐらい前に農耕牧畜が始まると、たくさんの人が集まって生活するようになった。インフルエンザウイルスが出現したのはそのころで、アヒルとブタを一緒に飼うことによって出現したといわれる。麻疹(はしか)ウイルスや天然痘ウイルスも、家畜から人へ伝染して、人の間だけで増えるように変わったウイルスだと。

狩猟生活時代には集団規模は小さかったと、私も認識しています。当然感染があっても、「集団免疫」がすぐ起きたでしょう。だが、現在では、100万人以上の都市が世界中に370もあるそうです。地球上には80億近い人間がいて、その内53%が都市に住んでいます。人の移動が簡単になり、1年間で海外旅行に行く人の数は、この30年間で4億人から14億人になったとされます。グローバル化で、経済も政治もすべてつながっているのが現代なんですね。著名な経済人の中には、コロナ騒動を契機に、こうしたグローバル化が近い未来変貌へんぼうすると、予想してる人もあるようです

長谷川さんの言葉を借ります。森林を伐採して農地にし、そこに大量の肥料をまいてきた。あるいは、地球の表面をコンクリートで埋めて、都市に変えてきた。人が世界中どこにでも、野放図のほうずに移動するようになり、これは行きすぎだとずっと言われてきたが、本気にしなかった。そうやって文明をまわしていくことで金が儲かるから。経済を優先して地球環境問題はつねに先送りにしてきた。エボラ出血熱や高病原性鳥インフルエンザでは、先進国のど真ん中は襲われず、都市の住民にとってはどこか「対岸の火事」だった。対岸たいがんの火事 他人にとって重要でも、自分には関係ないこと。今回、主要先進国がすべてこういう状況になって、はじめて、現代文明の問題が自分事になったのだと。

コロナ情報Ⅲで、旧約聖書の『創世記』に登場する都市「ソドムとゴモラ」の話を書きました。長谷川さんの指摘は、それに通じるものでしょう。久しぶりにすっきりするコラムに出合えました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました