練習生原稿68「低く強いドリブル、大きく振る誤解」 Sugi Academy R3.3.1
ドリブルに関しては、S.A.の「瞬間抜き」を始めとして、すでに何回となく発信している。今日はドリブルチェンジ、特にフロントチェンジにおけるボール移動の方法を Spot解説する。
過去何人かの指導者に、「フロントチェンジの際に気をつけるべき事」を尋ねてみた。高校時代県ベスト4に入った経験を持つ若手指導者は、ボール移動の幅を大きくすること・強く突くことですと答えた。「強く突く」それはいい。だがもう一つは……?
図2では、ボール移動距離が図1の半分。移動に要する時間も半分となる。逆の言い方をすれば、図2は2倍の速さということなのである。これって、ドリブル1:1をしかけるのに、スーパー優位に立てるってことでしょ。しかもだ。2つのドリブルを同じ強さで突いてたとしても、図1の方が移動距離の長い分、いくらか球速がダウンする。これも抜く速さに影響がある。
「低くて強いドリブル」を一貫して意識する、それがS.A.理論なのである。「低くて強い」は、最近少しずつ耳にするようになってきた言葉だが、本当の意義を理解している方がどれほどいるだろうか?改めて考えてもらえれば幸いである。
ブログアップした、原稿2「S.A.ドライブの根本原理を解説」は、4.10.2現在 219ビュー 。金儲けブログにはすぐ人が集まるが、これはバスケ……。よく読まれているといってよいかも。その中で触れているポイントをもう一つ。「抜くための動き始め」は、ボールが逆の手に入ってからではないこと。床で弾んだ段階でオフフットを踏み込むのだ。それだけでも0,2~0,3秒スピードアップする。もっといえば、低姿勢での仕掛けはカットされにくいことにも繋がる。このあたりは相当意識してドリルしてほしい。
福岡第一高で全国優勝4回の立役者、東海大の河村勇輝(b1横浜ビー・コルセアーズ 2020 特別指定選手)、近い将来の全日本を背負うPGであろう。彼のドリブルは「低くて強い」。NBAのビデオを見て育ったという。まさに、S.A.で言い続けてる理想型の1つであり、彼のような選手がやっと現れたことに、私は喜びを隠せない。直接語り合ってみたい選手の一人だ。 S.A.ドライブ根本原理 https://saschool-blog.com/?p=154
先日、Bリーグの番組で、元全日本男子エースの一人 五十嵐圭 が、視聴者の質問に答えていた。質問内容は、「今まで対戦したPGで、最も印象的だった選手とその内容」だ。彼はこう答えた。「世界選手権で対戦したスペインチームのPGです」。スペインバスケは、世界トップレベルなので、当然ともいえる。そして、凄さの内容については、「ドリブルの音が僕らとは全然違い、すごく大きいんです」と。その際、高さについては話題に上らなかったが、優位性は先程来説明したとおり。振れ幅の大きい昔ながらのドリブルを全否定するものではない。だが、常に話してるように、革新を求めるなら新鮮な目と柔軟な思考が不可欠である。技術は常に進化を求められている。
フェイクステップを用いたドリブル仕掛けでは、足を動かす時間や踏み込む方向などを生むために、振れ幅や高さを大きめにすることはある(特に、横方向へのフェイクにその傾向が強い)。だが、それはそもそも、フェイク・フェイント動作の一部であり、「抜きの動作そのもの」ではない場合がほとんどだ。フェイクは私も大好き。少しずつ教え始めてる。しかし、必ずしも、その全てが「瞬間抜き理論」と合致するわけじゃない。それは間違えないよう区別してほしい。フェイクステップ系のドリブルは、ボディコントロール・ハンドリング・1:1の駆け引き理論などが深まってこそ、身につく技術。殊に、育成年代での優先順位は低い。もちろん、スキルアップすれば実施する。ハイスキルレベルに入るから。だが、もっとシンプルなドリブルに重きを置き、確かなボールコントロールとボディワークを身につけることが肝要。そこがきちんとしてこそのNBAドライブである。まあ、S.A.ドライブを獲得すればほぼ困らないし、フェイクステップ系のドライブにも、すぐ十分対応できるだろう。
YouTube等の世界には様々な情報が溢れかえっていて、中には、かなりしっかりした技術解説もある。つい飛びつきたくなるかもしれない。でも、見た目の派手さ・格好良さだけに囚われてはいけないんだ。学びのステップを無視してドリルしても、半端なスキルにしかならないぞ。
*R4.10 加筆 上段落最終文「全否定するものではない」の内容について詳述した。
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